研究課題/領域番号 |
22500595
|
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
松永 敬子 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (60281565)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | スポーツタレント発掘事業 / 地域スポーツ振興事業 / 地域協働 / 連携 / システム構築 |
研究概要 |
本研究では、我が国の「スポーツタレント発掘事業」実施地域に注目し、タレント発掘事業に参加した結果、「タレントとして選抜されなかった多くの子どもたち(以下、非選抜児童)」に対するサポートシステムに着目し、現状を把握することを第1の目的とする。また、単にタレント発掘事業を競技スポーツの発展のためだけに遂行するのではなく、実施事業を起点に地域スポーツ振興の発展へと繋げるための新たなサポートシステムを構築することを第2の目的とする。 平成24年度は、スポーツタレント発掘事業を展開している2つの地域(和歌山県・京都府)のプロジェクト(選考測定会)参加児童とその保護者に対して質問紙調査を実施し、非選抜児童へのサポートプログラムのニーズ分析を実施した。さらに、その内容を2府県の事業担当者と共有し、次年度の非選抜児童へのサポートプログラムの実施に向けて、検討を重ねている段階にある。また、ロンドンオリンピックにおいて、JSC(日本スポーツ振興センターロンドン事務所)は海外の最新のスポーツタレント発掘事業に関連する情報・資料収集を行っていたため、そのヒアリング内容についても新たなシステム構築の参考としたい。 次年度は、特に和歌山県と京都府をケース対象地域とし、非選抜児童へのサポートシステムの構築に向けて具体的な仕掛けをしていく。特に、Bailey and Koney(2000)によれば、非営利組織の組織間関係は、「協同→調整→協働→結合」という連続体のプロセスをたどり、生成発展すると論じられているため、本研究では、各競技団体および地域スポーツクラブをはじめとする、スポーツ関連組織との協働システムを核とした組織間関係の生成過程に着眼し、地域スポーツクラブ、体育協会、スポーツ推進委員会などと連携する山形県の育成プログラムのしくみを援用し、非選抜児童へのサポートシステム構築も視野に入れて展開する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、我が国の「スポーツタレント発掘事業」実施地域に注目し、タレント発掘事業に参加した結果、「タレントとして選抜されなかった多くの子どもたち(以下、非選抜児童)」に対するサポートシステムに着目し、現状を把握することを第1の目的としたが、概ね全体像を把握することができた。ただし、東日本大震災の影響もあり、特に、東北・関東地域のヒアリング調査については、研究計画を変更したため、少し遅れていた状況にはあった。また、平成24年度3月から新規で事業を展開した宮城県の状況については調査中であるが、参考になる事例となりそうであるため、追加のヒアリング調査を予定している。 現段階においては、非選抜児童のサポートプログラムにまでは、積極的に事業展開がなされてていないのが実情であるが、育成プログラムのシステムを援用するなどさまざまな可能性を見出すことができている。さらに、プロジェクトの選考測定会の有効活用が大きな課題となり、新たなしくみづくりについても具体策を提示し、実現に向けて検討段階に入っている。 また、単にタレント発掘事業を競技スポーツの発展のためだけに遂行するのではなく、実施事業を起点に地域スポーツ振興の発展へと繋げるための新たなサポートシステムを構築することを第2の目的としている点については、平成24年度までに概ね準備を整えることができた。平成25年度からは、社会実験として、スポーツタレント発掘事業を展開している2つの地域(非競技特化型スポーツタレント発掘の和歌山県・競技特化型スポーツタレント発掘の京都府)のプロジェクト(選考測定会時のサポートプログラムとその後のサポートプログラム)を実践していくため、最終年度のシステム構築に向けては今年度が大きな鍵となる。ただし、科学的なアプローチについては、少し遅れが見られるため、平成25年度の社会実験の際に本格的に進めていく必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
単にタレント発掘事業を競技スポーツの発展のためだけに遂行するのではなく、実施事業を起点に地域スポーツ振興の発展へと繋げるための新たなサポートシステムを構築することを第2の目的としている点については、平成25年度に社会実験として、スポーツタレント発掘事業を展開している2つの地域(非競技特化型スポーツタレント発掘の和歌山県・競技特化型スポーツタレント発掘の京都府)のプロジェクト(選考測定会時のサポートプログラムとその後のサポートプログラム)を実践する。 そして、平成26年度に向けて改善策を模索し、平成26年度に再度、社会実験を実施し、平成27年度からの本格始動に向けて、システム構築を図る。 特に、非競技特化型スポーツタレント発掘の和歌山県と競技特化型スポーツタレント発掘の京都府では、プログラムおよびシステム構築のスキームが異なるため、効率よく研究を推進するための体制を整えたい。また、組織間関係の生成過程の研究成果を早期に社会実験現場に落とし込むことができるよう、平成25年度の前半に検証を実施するなど、推進方策についても検討を重ねたい。
|