研究課題/領域番号 |
22500603
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研究機関 | 佐世保工業高等専門学校 |
研究代表者 |
中島 賢治 佐世保工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (40311112)
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キーワード | ラグビー / 加速度センサ / 角速度センサ / コンタクトプレイ / センサフュージョンアルゴリズム / 衝撃力 / コーチング / 力学的衝突モデル |
研究概要 |
本研究は、小型の加速度センサと角速度センサ、地磁気センサをラグビー選手に装着、ラグビーの接触プレイにおいて選手が受ける衝撃力と軌跡を実測することを目的としている。類似研究として、スキーヤー、陸上ハンマー投げ、ゴルフスイングなどの動作解析、歩行治癒患者の回復量の数値化があり、様々な分野において小型センサの利用拡大が見込まれる。これらの研究では、加速度センサの信号のみでは期待した軌跡が得られないことが課題となっている。そのため、各種のセンサ(加速度、角速度、地磁気、GPSセンサ)を相互補完的に利用する手法によって、計測対象ごどにアプリケーション開発する必要がある。 当初の研究実施計画においては、計測結果を基にDEM数値解析モデルを確立する予定であったが、ラグビー選手の衝突という計測対象に対し独自のロジックでアプリケーションを開発する必要性が出てきたため、前年度報告のように研究計画を修正している。平成23年度に得られた研究実績を以下にまとめる。 なお、項目の順番は達成度が高いものから順に記述する。 1、各センサの検定実験加速度センサと角速度センサについて簡単な実験で精度検定を行った。角速度センサについては最大で約5%の誤差があり、平滑化フィルタによって解決できることを示した。加速度センサについては、積分操作によって位置情報まで算出すると、最大で200%から300%の誤差を発生することがわかった。現在、試行錯誤しながら各種フィルタ理論を適用し最適な方法を見つけている。 2、フージョンセンサ理論による計算手法の確立姿勢行列を求める回転行列を導出し、表計算レベルで妥当性を確認した。秋田大学の廣瀬氏らは申請者らと異なる方法で姿勢を求めており、今後両者を比較検討する予定である。 3、移動軌跡の検定実験1、と2、を適用してラグビー選手にセンサを装着し移動軌跡を求めた。計測結果から新たな課題が見つかり、平成24年度の課題として取り組んでいる。 4、以上の結果を日本機械学会年次大会において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
加速度センサや角速度センサなど小型センサを用いて人間の動作を計測する技術は、センサ性能に影響を受け精度確保が困難で、かつ計測対象ごとに計算ロジックを開発する必要があり、開発途上の技術である。申請者らはラグビー選手の運動計測のためのロジック開発を進めており、ほぼ実用に耐えうる計測データを得ることができつつある。また、研究結果は国内の有力研究者と提携し相互に議論できる関係を築いている。
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今後の研究の推進方策 |
小型センサを用いる場合の座標変換理論は、多くの場合、回転行列による方法またはオイラー角による方法のどちらかが使われる。申請者らは前者を採用しており、提携関係にある秋田大学廣瀬氏らのグループは後者を用いている。研究結果を相互にデータ交換しロジックの妥当性について議論する。また、研究を遂行する上での問題点について、実際にラグビー選手にセンサを装着した場合、センサに大きな加速度変動がかかるとその後のデータがドリフト的に誤差を発生することがわかっている。この誤差を解消するため、加速度と速度、位置に関してリセットをかけるエラー除去ロジックを開発する必要がある。そのためトライアンドエラーを繰り返す必要がある。
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