研究課題/領域番号 |
22500604
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
杉田 正明 三重大学, 教育学部, 教授 (60235885)
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キーワード | 低酸素環境 / 呼吸交換比 / 自転車駆動 / 脂肪燃焼 |
研究概要 |
本研究では、低酸素環境下での中等度運動強度における自転車運動が体脂肪燃焼に及ぼす影響を明らかにしようとした。 実験の内容は以下の通りであった。成人男性8名(年齢22.4±0.9歳、身長172.9±5.5cm、体重69.4±5.8kg、体脂肪率11.9±3.9%)を対象とし、常酸素環境下及び低酸素環境下(酸素濃度15.4%、標高2500m相当)において、各条件下50%VO2maxに相当する負荷(常酸素115.0±15.3W、低酸素93.4±11.5W)で40分間(60rpm)自転車駆動を行わせた。その際及び運動2時間後までの呼気ガス分析、心拍数、RPE及びSpO2を測定した。その結果、以下の知見が得られた。 心拍数と主観的運動強度ついては、両条件間で有意な差は認められなかった。酸素飽和度(SpO2)は、低酸素環境下(88.6±0.43%)の方が常酸素環境下(95.8±0.34%)と比較して、有意(p<0.01)に低い値を示した。呼吸交換比は、運動中の平均値は低酸素環境下(0.86±0.04)の方が常酸素環境下(0.94±0.01)と比較して有意(p<0.01)に低い値を示した。したがって、運動中の総脂肪消費量の平均値は低酸素環境下(18.5±6.4g)が常酸素環境下(8.6±2.0g)と比較して有意(p<0.01)に高い値を示した。運動中の糖消費量の総量の平均値は低酸素環境下(50.8±9.85g)の方が常酸素環境下(81.7±10.08g)より有意(p<0.001)に低い値を示した。運動後の呼吸交換比は、低酸素環境下の方が常酸素環境下よりも低く、運動後の脂肪消費量の総量の平均は低酸素環境下(16.39(±4.64)g)の方が常酸素環境下(5.37(±3.17)g)よりも有意(p<0.01)に高い値を示した。低酸素環境下(標高2500m相当)における、50%VO2max程度の負荷での40分間の自転車駆動運動は、運動時とその後の安静時において糖消費量を抑え、脂肪消費量を亢進させることから、常酸素環境下で同程度の負荷で持続的運動を行うことと比べ体脂肪を効率よく燃焼させることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで2年間にわたり低酸素環境下(標高2500m相当)と常酸素環境下における持続的運動(30%,50%VO2max)による体脂肪燃焼の比較実験が出来ており、概ね良好な結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は特にないが、本研究課題は遂行するためには、対象者の選定、食事制限、日常生活での調整等が必須となる。この辺りの調整を適切に円滑に行うことが推進方策として挙げられる。
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