研究概要 |
本研究では中等度運動と高強度運動を3ヶ月間、週3回継続的に行わせ、その介入期間中の脳機能や脊髄運動神経機能の変化を詳細に調べ、これらの基礎データに基づいて脳機能や脊髄運動神経機能を鍛えるための運動処方開発を提案することが本研究の目的である。本目的を達成するために本年度はP300電位、脊髄運動神経機能(H反射、運動神経伝導速度・分布)等を比較し考察した. 参加者&運動内容:運動習慣がなく、精神疾患や神経疾患等の既往歴のない健康な大学生・大学院生60名。なお、参加者は3ヶ月間の運動介入期間中の運動様式により以下の3群に分けられる。 1.コントロール群(20名):30分間の下肢を中心としたストレッチ運動。 2.有酸素運動群(20名):20分間の60%VO2maxの自転車ペダリング運動。 *主運動の前後に5分間のウォーミングアップおよびクールダウン(30Wの負荷での自転車ペダリング運動)を行う。3.レジスタンス運動群(20名):10分間の下肢を中心としたレジスタンス運動(負荷:50%1RM)。*主運動の前後に10分間のウォーミングアップおよびクールダウン(下肢を中心としたストレッチ運動)を行う。 結果と考察:上肢を中心に長期間にわたるとトレーニングを行っている運動群とコントロール群のMCVとDMCVpeakをcollision法を用いて上肢の正中神経と尺骨神経を検討し,以下の結果を得た. コントロール群に比べ運動群の尺骨神経と正中神経のMCV(末梢運動神経伝導速度),DMCVpeak(末梢運動神経伝導速度の分布)が速い値を示した.またP300電位もコントロール群に比べ運動群の方が潜時が短く.振幅が高い傾向にあった.以上のことから,長期間にわたる有酸素性と無酸素性,さらにパワー系の複合的なトレーニングによってMCV及びDMCV peakに変化を生じさせている可能性があると考えられる.
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