研究概要 |
本研究では運動刺激・パルス磁場刺激の効果を、若齢期及び高齢期の骨格筋・骨組織で検証することを目的として、H22年度は、若齢期および高齢期ラットを対象に反復磁気刺激を処方し、これらの効果を組織細胞、遺伝子発現レベルで検証した。 骨内磁気刺激強度40-60mTで反復磁気刺激を麻酔下で若齢(6w)及び高齢ラット(75-120w)下肢に行った。24時間後に脛骨骨髄を採取してreal-time RT-PCRによりBMP-2, BMP-4, TGF-β2, COL-I, OCN mRNA発現量を調べ、非刺激骨(Cont)と比較した。反復磁気刺激24時間後のBMP-2, BMP-4及びTGF-βmRNAの発現量はContと比較して、若齢期においてのみ有意にup-regulateしたが、COL-I, OCN mRNA発現量は変化がなかった。高齢期ではいずれのパラメータについても変化はなく、刺激効果は加齢や刺激強度によって異なることが示唆された。骨量及び骨梁構造、筋細胞内膜系の超微細構造に対しても一過性の効果は認められなかった。またμCT撮影による骨組織の3次元構造解析についても一過性の効果については認められなかった。本実験条件においての一過性効果は、若齢期の骨形成促進パラメータの遺伝子発現レベルにおいて認められた。 一方、パルス磁気刺激時の骨内磁場強度(PEMF)について傾向を確認したところ、刺激強度依存性については高い正相関を、距離依存性については指数的減衰性を、ポジション依存性については3領域に大別されるPEMF分布パターンを示した。これらの傾向の把握は、生体磁気刺激の応用目的において、硬組織内で生じるPEMF強度を推定するための条件設定に有用と思われた。
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