研究課題/領域番号 |
22500611
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
田巻 弘之 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40253926)
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研究分担者 |
與谷 謙吾 鹿屋体育大学, 体育学部, 助教 (10581142)
桐本 光 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (40406260)
大西 秀明 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (90339953)
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キーワード | 骨 / 骨格筋 / 運動 / 老化 / コラーゲン |
研究概要 |
本研究ではメカニカルストレスの効果を、若齢期及び高齢期の骨格筋・骨組織で検証することを目的として、H23年度は、高齢期ラットを対象に自発走運動を処方し、これらの効果を組織細胞、遺伝子発現レベルで検証した。 2.5年齢の実験動物(ラット)を用い、回転車輪式運動負荷装置による自発走を8-10週間実施した。その後脛骨を採取して、各種染色を施し、光学顕微鏡にて骨幹端の海綿骨を観察撮影し、画像解析ソフトにて骨梁形態を解析した。高齢期ラットの骨量は若年及び中年期のものと比較して、著しく低く、脛骨骨幹端二次海綿骨の骨梁構造も粗であり、新たに骨芽細胞により形成された類骨幅、類骨面積は有意に小さいことが観察された。自発走運動を実施することにより、骨梁幅及び類骨幅はage-matched controlと比べて大きくなり、海綿骨における骨基質の形成に対してポジティブな影響を及ぼすのではないかと考えられた。また下肢の骨格筋重量も自発走運動実施により、非運動群と比較して高いレベルを維持していた。しかしながら筋組織内のコラーゲン線維は、特に遅筋線維優位な筋組織において多く観察される傾向にあり、高齢期においては線維化を助長する可能性も示唆された。またヒトへのメカニカルストレスの影響を検証するため、下肢筋収縮の持続や軽運動の継続を行い、筋収縮強度レベルや様式についても検討した。大腿骨頚部など下肢の特定の領域については、骨密度が増大することが示されたが、その他の領域については有意な変化は観察されなかった。運動によるメカニカルストレスの筋骨格系への影響は、ストレス領域、強度依存性を呈することが理解され、運動処方における条件設定に有用な知見と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、磁場及び運動刺激の実施条件を規定することができ、実験動物に処方してその効果を検証するべく、組織のサンプリング及び分析が進行し、データを収集することができた。特に高齢期ラットは貴重な対象であり、実験計画通りに処方と組織採取が完了しており、分析も進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
運動・筋収縮によるメカニカルストレスが骨組織並びに骨芽細胞、破骨細胞などのリクルートメントや基質形成に対する影響を、刺激の閾値強度の観点から進める。また検証方法として、細胞の可視化並びにタンパク質および遺伝子発現レベルでの定量化を進める。
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