研究概要 |
本研究は腰痛の発生原因となりうる椎間板変性の発生に関して、その誘因となる遺伝的要因や身体特性を横断的に検討し、さらには腰部器質的変化と腰痛との関連性を明らかにすることを最終的な目標としている。 我々はこれまでに椎間板変性と関連性の高い遺伝子多型としてCILP,ASPN遺伝子を報告し、特に体操選手における腰部器質的変化の一つである隅角解離とCOL11A1遺伝子多型との関連性を報告してきた。腰痛の発生要因としては環境要因,心理的要因,遺伝的要因など様々な因子が挙げられている.中嶋,中里(連携研究者)らのグループはこれまで大学柔道選手を対象として腰痛と椎間板変性の発生に関する検討を行ってきた.その結果,大学柔道選手において椎間板変性は腰痛のリスクファクターでないことを報告した(J Orthop Sports Phys Ther, 2007). しかしながら我々は,大学体操競技選手104名を対象とし,。横断的研究にて椎間板変性を含む腰部器質的変化(8項目)と腰痛の関係を検討した.その結果,体操競技選手の約半数は腰痛を有していること,さらに椎間板変性以外にも多くの腰部器質的変化を有していることを確認した.そこでロジスティック回帰分析を行った結果,椎間板変性は腰痛の有意なリスクファクター(オッズ比=2.70,95%CI:1.10-6.66)であることを見出した(Int J Sports Med, 2013).以上の結果は各競技スポーツ種目によって腰痛の原因となる腰部の器質的変化(椎間板変性を含む)が異なる可能性を示唆している
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