研究課題/領域番号 |
22500619
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
新開谷 央 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70107233)
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研究分担者 |
志手 典之 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10178874)
神林 勲 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70214731)
森田 憲輝 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (10382540)
奥田 知靖 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (90531806)
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キーワード | 積雪寒冷地 / 子ども / 肥満 / 心血管危険因子 / 生活習慣 / 食習慣 / 授業プログラム / 年間計画 |
研究概要 |
本研究(平成22~25年度)の課題は,積雪寒冷地(北海道)に居住する子どもの体力・運動能力の立て直しと健康状態改善を目指した保健体育科授業のプログラム開発を目的としている.4年間の研究期間の内,前半2年間は積雪寒冷期間(12月~3月)が子どもに与える影響と授業プログラムの検討,後半2年間は授業プログラムの効果の検証になっている.平成23年度は,平成22年度の積雪寒冷期間前の体力・運動能力,形態および健康状態などの測定を踏まえ,4~5月にかけて積雪寒冷期間後に同様の測定を実施した.なお対象者は小・中学生550名【小3・152名(男71・女82),小5・155名(男79・女76),中1・241名(男120・女122)】であり,学年・性別により6群に大別した.対象者は積雪寒冷期間後にそれぞれ小4,小6および中2に進級している. 積雪寒冷期間後,ほぼすべての群で体格(身長・体重)が有意に増加した.新体力テスト8種目(握力・上体おこし・長座体前屈・反復横とび・20mシャトルラン・50m走・立幅跳・ボール投)の合計得点もすべての群で有意に増加した.しかしながら,一部の項目で有意な増加が認められず,特に上体起こし,長座体前屈,20mシャトルランおよび50m走はその傾向が顕著であった.また連続リバウンドジャンプにおけるパワー発揮能力等も多くの群で低下した.動脈硬化指数(CAVI)や疫学調査用半定量食物摂取頻度調査票(FFQ),1週間の生活習慣については積雪寒冷期間前後で大きな違い認められなかった.これらの結果を受けて,積雪寒冷期間における学校教育現場の体育科・保健体育科の年間指導計画や学習内容について小・中学校の教諭等と議論を重ね,学習プログラムモデル構築のための素案などを作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は4年間の計画であるが,現在,前半の2年間が終了した.この2年間の課題は,学校教育現場との連携を図りながら,北海道の積雪寒冷期間が児童・生徒の体力・運動能力や健康状態に与える影響を,秋(2010年)と春(2011年)の測定を通して明らかにすることであった.また,2011年度までの測定結果を踏まえ,2012年度における小・中学校の体育科・保健体育科の年間指導計画を現場の教諭とともに作成することが課題であった.以上の測定や課題は,この2年間で順調に実施されていることから,区分を「おおむね順調に進展している」とした.
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今後の研究の推進方策 |
4年間の研究期間の内,2012年度からは後半の2年間になる.この2年間では,小・中学校の積雪寒冷期間における体育科・保健体育科の授業を見直し,研究組織と現場の教諭で構築した年間指導計画やモジュール時間を利用した学習プログラムを実際に運用する.そして,春と秋に同一対象者の体力・運動能力や健康状態の測定を行い,運用した計画やプログラムの有効性を検証する・また,これらの成果を生かして,北海道における学習プログラムモデルの構築を行い,教育現場に対して提案をしていく.問題点として,本研究の結果が積雪寒冷期間のない地域と比較してどの程度の相違があるのかを検討できない点にある.そこで,東京近郊の大学および小・中学校と連携し,本研究と同一の測定を同時期に実施する予定である.
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