研究概要 |
平成24年度も、前年度に引きつづき茨城大学において定期健診を受けた大学生7026名(男4438名、女2588名)のBMI、および体脂肪率を測定し、男女別・学年別に肥満およびやせの割合を調査し、それぞれの割合を比較検討した。体脂肪率が男子で30%以上、女子で35%以上の肥満の学生のうち、インフォームドコンセントの得られた52名(男14名、女38名)を対象に腹部超音波検査により脂肪肝の判定をおこない、大学生における脂肪肝の出現頻度を調べた。同時に食物摂取状況調査をおこない、栄養ソフトにより、エネルギー、3大栄養素に加え、脂肪酸、食物繊維摂取量などを算定した。脂肪肝の診断は腹部超音波検査によりおこない、エコー減衰率、エコー輝度、肝静脈像の抽出度、肝腎コントラスト比の項目を0,1,2にスコア化し、合計点数が0:正常、1-3軽度、4以上:中等度に分類した。肥満男子学生の50%が中等度の脂肪肝を呈した。一方、肥満女子学生のうちわずか13%が中等度の脂肪肝を呈するのみであった。内臓脂肪の蓄積(腹囲が男性が85cm以上、女性が90cm以上)の指標として、平成24年度は新しく生体インピーダンス法によりウエスト径、内臓脂肪率を測定した。男子学生の過半数がメタボリック予備軍に該当し、そのうち7名が中等度の脂肪肝を呈し、男子学生においてはNAFLDがメタボリック症候群の肝臓における表現型となる可能性が示唆された。平成24年度にはヨーロッパ臨床栄養学会(平成24年9月、バルセロナ)に参加し、欧州における非アルコール性肝炎の研究動向について情報収集をおこなった。
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