社会や家庭環境の影響を受けて子どもたちの夜更かしが一層進んでおり、日常生活に様々な弊害がみられる。そこで本年度は小・中学生の睡眠習慣と詳細な生活状況の関連を分析する目的の実態調査と、一方で不登校等の誘因ともなっている起床時気分の改善のための起床前漸増光照射の効果を検証した。生活調査は富山県と石川県の小学校5校、及び中学校3校で実施し、小学生1583票、中学生968票の計2551票を分析した。また起床時気分改善効果の実験は、富山市内の小学校4~6年生とその保護者30~50代の男女を対象に、夏の実験で68名、冬の実験で54名の睡眠・生活記録を分析した。 その結果、小学1年から中学3年まで漸次有意に平日の就寝時刻が遅くなり、睡眠時間も短縮した。寝つきが最も悪いのは6年生、ついで5年生で、中学生よりも睡眠時間が長くても質の低下が始まっていると推察できる。中途覚醒も5、6年生が有意に多く、熟眠感も小学5年生から有意に低下した。起床困難は小学1年から3割近くにみられ、中学生では4割が起床時気分が悪いという結果である。これを反映して、中学生の昼間の眠気は8割以上に、居眠りは中学2、3年で7割前後に体験されている。学習に関する項目との関連では、「楽しく学習できるか」は発達段階とともに「よくできる」と答える割合が有意に減少した。これを学年ごとに見ると、小学1、2年では10:00以降就寝、3年では11:00以降就寝、5年でも10:00以降就寝、中学1、2年では0:00以降就寝で「楽しく学習できる」割合が有意に減少した。睡眠時間でも、小学生は10時間以上が「楽しく学習できる」傾向が見られ、中学生では就寝時刻が遅くなるほど楽しく学習できず、集中力が有意に低下していた。 起床時の気分改善実験では、年代や性別、照射条件により結果が異なったが、全体的には睡眠習慣に問題がある場合により効果が認められた。
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