研究概要 |
身体活動を伴う運動遊びが,幼少年期の子どもの体力,運動能力の向上のみならず,脳の健全な発達にとっても効果があることを今まで以上に踏み込んで立証するためには,運動中の脳内機能のモニタリングを行う必要があると考え,本研究では,様々な運動遊びを行っている活動中の子どもの前頭葉における血液量変化について装着したまま活動可能な小型脳機能測定装置を用いて計測し,身体活動が脳発達に及ぼす影響について科学的な基礎資料を得ることを目的とした. 研究開始初年度(H22)は,幼児から小学生までの多くの子どもたちの現状を多角的に把握するため,3歳から11歳までの幼少児を対象に体力・運動能力テストを実施した.また,日頃の活動量がどのような影響を及ぼしているのかを検討するため,小学校にて活動量計測も実施し,現代の我が国の子どもたちの問題点を多角的に分析し,種々の学術雑誌および国内,国外諸学会にてその研究成果を発表した.これらの分析において,やはり幼少期の体力低下が明らかになると同時に,その二極化も鮮明であることが分かった.また,小学生の活動量においては就学時間内での活動量と体力特性の関連は認められず,放課後や祝日時の活動量の個人差が,二極化の原因であることが示唆され,キレない子どもを育むためにも,家庭での活動量を高める施策のさらなる強化が必要と考えられた. また,活動中の脳血流量の変化を測定するため,購入した簡易脳血流量測定機器を用いながらモニタリングする予備実験を何度も繰り返し実施した.それらの予備実験の結果を基に来年度以降最終的には,一定期間の運動遊びプログラムを実施する中で,運動中の血液量がどのように変化するのかについて検討し,いわゆる"遊び込み"が子どもの脳活性化に及ぼす影響について明らかにするための研究プロトコルを確立している.
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