【目的】20代女性の子宮頸がん検診受診率向上を目的として携帯メルマガによる継続的性教育介入を行い,その後の子宮頸がん検診受診・HPVワクチン接種行動を追跡した.ランダム化比較試験により介入効果を検討した. 【方法】子宮頸がん講演会に参加した20代女性に,本研究について説明し登録のあった389名を対象とした.携帯メールを用いたランダム割り付け無記名アンケート登録システムにより無作為に対象を2群に分け,普通教育群192名と強化教育群197名に割り付けた.普通教育群は講演後1ヵ月から3ヵ月毎,強化教育群は毎月,1年間性教育プログラムを送付した.送付翌日に子宮頸がん検診受診・HPVワクチン接種についてメールアンケートを行った. 【成績】メールアンケートの回答率は普通教育群33.3%,強化教育群35.5%で,既往受診者は普通教育群19.3%,強化教育群15.3%であった.メルマガ送付1年以内の子宮頸がん検診受診率は普通教育群9.4%,強化教育群11.4%で,HPVワクチン接種率は普通教育群9.4%,強化教育群11.4%であった.「メルマガの情報が有用であった」と回答した人は,普通教育群92.2%,強化教育群88.6%であった.携帯メルマガによる性教育介入後,両群間で頸がん検診受診率,HPVワクチン接種率に有意差は認められなかった. 【結論】今回,対象者に1年間メルマガを送付しアンケート結果を追跡する「携帯メールを用いた登録回答システム」の運用方法が確立された.今後,様々な教育介入効果の評価へ幅広く応用可能と考えられた.また,携帯メールを用いたメルマガによる継続的性教育プログラムでは,県内の医療機関や子宮頸がん検診情報を中心とした性に関する情報を送付した.メールアンケートでは普通教育群92.2%,強化教育群88.6%の女性が「有用であった」と答えており,今後の性教育に有効な手法と考えられた.
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