高Glycemic Index(GI)食品である白米を主食とする日本人の平均的な食事のGIは高く、食後高血糖、耐糖能異常予防の観点からGIを低減することが望ましい。本研究の目的は、メタボリックシンドロームおよびその予備軍の日本人における糖質吸収抑制食(低GI食)の継続摂取と糖代謝および慢性炎症状態の各指標との関連を、前向き介入試験により検証することである。 健常な成人男性51名(BMI≧23)を年齢、BMIを対応させた上で無作為に介入群と対照群に割り付け、介入群には研究代表者らが開発した低GI冷凍惣菜を週に15食分ずつ宅配し、5週間継続摂取させた。対照群には通常の食事を自由に摂取させた。ベースラインおよび介入期間中に3日間の食事記録法による食事調査を行い、エネルギーおよび栄養素摂取量を算出した。介入期間の前後に身体計測および糖代謝、炎症等の関連指標の血液生化学検査を行った。2群間の比較にはWilcoxonの順位和検定、各群の介入前後の指標の比較には対応のあるt検定を行った。 すべてのデータが得られた介入群22名、対照群17名を解析の対象とした。ベースライン時の年齢、体重、腹囲、BMI、アルコール摂取量に両群間の差はみられなかった。対照群では、介入期間に身体計測値および血液生化学指標の変動は認められなかった。一方、介入群では、5週間の低GI惣菜の摂取により体重、腹囲、BMIの有意な(p<0.01)減少、血中HbAlc値の低下傾向(p=0.083)が示された。また、血漿γ-GTP活性が有意に低下した(p<0.05)。血漿γ-GTP活性は、健常者における酸化傷害や炎症の指標、内臓脂肪面積と強く関連することが、最近の研究で明らかになっている。したがって、本研究では、低GI食の継続的な摂取により軽度肥満者の内臓脂肪が減少し、それに伴い耐糖能の改善あるいは炎症の抑制が起きたものと推察された。
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