本研究は、我が国の慢性血液透析患者数が年々直線的に増加し、透析の長期化、高齢化によって、患者のQOL(生活の質)が低下していることに着目して、患者の栄養状態、安静時代謝量・身体活動量の包括的な定量・評価とそれらの関連分析から、患者のQOL向上につながるライフスタイル教育プログラムの提言を目的としている。本年度は、研究体制の構築と外来患者77名を対象として、以下のベースライン調査・測定を行った。 1) 健康状態:BMIと体脂肪率(多周波生体インピーダンス法)、握力、血液生化学検査、 2) 主観的健康感:QOL調査〔腎疾患特異的尺度(KDQOL-SF^<TM> ver1.3)と包括的尺度(SF-36 ver2.0)〕、健康状態や日常生活全般、食事の満足度、アクティブライフスタイルに対する意欲・関心度、 3) 日頃の栄養摂取:摂取エネルギーならびに栄養素(連続1週間、秤量・目安量記録法の併用)、 4) 身体活動量:座位安静時代謝量(間接熱量測定法;REE)、活動強度(METs)と歩数(連続1週間、加速度法)、総エネルギー消費量と身体的活動レベル(PAL)は、実測したREEを1METsとして算出した。 身体活動量と栄養摂取については、透析日と非透析日を層別に分析してQOLの決定要因を多変量で探索した。その結果、とくに透析日の低強度の活動時間の増加によって、患者のQOLが向上することが示唆された。
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