平成24年度は、23年度末に実施した2000名を対象とするアンケート調査の結果集約とデータ分析を行う一方、前年度までに既に実施してきた研究の報告活動を行った。 報告の機会としては、24年6月の日本作業療法学会、7月の国際心理学会、9月の動物介在教育・療法学会、11月の日本応用老年学会における口述およびポスター発表である。同年11月に、ヤマザキ学園大学で行われた日本ヒューマン・ドッグ・ウォーキング協会公開講座では、動物看護学を学ぶ学生と一般市民を対象に、本研究成果をもとに基調講演を行った。平成25年4月に桜美林大学大学院で行われた日米ジェロントロジカルシンポジウムでは、シンポジストとして本研究成果に基づく発表を行った。同会議ではさらに、介護予防の観点から今後日米両国における比較研究の実施に向けカルフォルニア州立大学担当者らと意見交換を行った。 報告者は、3年に渡る研究を通じて、犬の飼い主らが地域コミュニティで行っている「犬の散歩」が、人々の地域交流関係の形成と維持の機会となり、その関係性の発展による潜在的資源の形成や、散歩を行う地域社会への愛着と関心「わが町意識」を高め、ソーシャル・キャピタル醸成のプラットフォームとなることを明らかにした。一昨年までの研究成果は既に論文発表を終えているが、昨年度については日本応用老年学会学会誌、平成25年Vol.7③に原著論文として掲載決定の通知を得ている。今後さらに、研究全体の成果報告冊子を作成する予定である。 近年我が国では高齢な飼い主の増加に伴い,飼育継続困難等の問題が深刻化している。本研究においても,ペット飼育に必要とされる認知・身体機能の分析の必要性等、新たな課題を指摘してきた。報告者は,昨年度末より,これら新たな課題に関する予備的研究にも取り組んでいる。今後、更に新たな課題にも対処すべく研究を継続する予定である。
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