本研究は未規制たばこ製品とその使用による健康影響対策に資する基礎的資料を作成することを目的としている。これまでにガムにたばこ葉を練り込んだスウェーデン製「ファイヤーブレイク」の亜硝酸反応生成物が変異原性を示すことを報告した。 最終年度にあたる平成24年度は、その比較対照試験を目的として、たばこ葉を含まないチューイングガムの亜硝酸反応生成物の変異原性について調べた。変異原性試験はサルモネラTA100 及びTA98 両菌株を用い、ラット肝S9mix 添加・無添加両条件下でプレインキュベーション法により行った。また、ガムたばこ関連製品のニコチン分析や動物投与試料の検討も行った。今年度得られた結果の大要は以下の通りである。 ①被験ガム試料の50%DMSO/DW抽出物は菌株・S9mix添加の有無にかかわらず変異原性は認められなかった。②被験ガム試料に亜硝酸処理を行ったところ、主に塩基対置換型の突然変異を検出するTA100株に対して、3種類のガムがS9mix 無添加条件下で変異原性を示した。また、③主にフレームシフト型の突然変異を検出するTA98株に対して、4種類のガムがS9mix 無添加条件下で変異原性を示した。④亜硝酸処理反応時におけるpH比較実験を行ったところ、変異原性を示した被験ガム試料に関して、酸性条件下のみで変異原性が認められた。これらの結果から、ガムたばこのみならず、たばこ葉を含まないチューイングガムについても亜硝酸処理により、発がん関連物質が生成する可能性が示唆された。⑤ガムたばこ関連製品として禁煙補助剤等のニコチン分析を試みたが回収率が70%と悪く定量値は得られなかった。⑥動物に投与可能な試料調製を試みたが、定量的な溶解度が得られなかった。
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