研究概要 |
就寝直前の運動が睡眠の質の改善に有効か否かを検証するために、軽度睡眠障害者を対象に昨年度実施した低強度・短時間ストレッチ運動が睡眠構造及びストレス反応に及ぼす効果について統計学的検証を実施した。実験参加者はピッツバーグ睡眠質問票のスコアが6点以上で、実験内容に同意し承諾が得られた女性8名(38~58歳)のうち、1名は睡眠に至らず解析対象から除外した。ストレス反応の項目は、唾液中のコルチゾールとIgAとした。睡眠の項目は、睡眠中の脳波をもとに測定評価された入眠潜時、総睡眠時間、中途覚醒時間、睡眠効率、睡眠ステージとした。一般線形モデルにて統計解析を行った結果、唾液中IgAは安静コントロール時および運動介入時のいずれも時間経過に伴い増加し、そのレベルは運動介入時に著明であった。睡眠内容に関する各指標は運動の効果を認めなかったが、感情記憶の調節に関わるレム睡眠の発生が安静コントロール時に比較して運動実施時に顕著に生じることが示された。本研究で開発した低強度・短時間のストレッチ運動プログラムの就寝直前の実施は、睡眠の質に及ぼす影響は明確ではないが、睡眠時におけるストレスを緩和する可能性が示唆された。平成22~23年度の研究成果について、「Effect of Low-Intensity Strech Exercise on Rectal Temperature, Stress, and Mood in Middle-Aged Women in Japan.」と題して第17回ヨーロッパスポーツ科学会義(於ベルギー)にて、「短時間ストレッチ運動が睡眠およびストレス反応に及ぼす影響」と題して第67回日本体力医学会(於岐阜)にて発表した。
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