本研究の目標は違法ドラッグ等の毒性情報を活用した正確な薬物知識を提供し、青少年がライフスキル向上に役立つような薬物知識を習得できることにある。本年度は理化学分析と生体影響を検討し、データ収集と解析を目的に研究を行った。 研究代表者は流通している違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)を調査し、その成分に大麻成分類似体の新規未規制合成カンナビノイドが含まれることを明らかした。また、いわゆる健康食品の調査ではED治療薬類似体を含有するものが多かったが、外国製痩身用健康食品ではマオウ等のエフェドラアルカロイドの代わりに類似物質シネフリンを含むものが増加していた。また、教材用の実験映像を作成した。 研究分担者(安田)はオランダでの実地調査を行い大麻喫煙への規制に変化があることを把握し、違法ドラッグに類する製品の状況を調査した。また、植物系ドラッグに含まれる成分を分析した。 研究分担者(浜田)はメンバーから報告のある成分を中心にデータベースの拡充とともに、毒性情報のモデルとなる化合物の選考に入った。 これらの結果を中心に、平成23年1月21日、当所において、保健衛生関係者や薬学部教職員及び学生を対象としたキックオフミーティングを開催した。参加者は約40名で保健衛生関係(県職員、行政関係等)、学校職員、また、薬学部教員と学生であった。その中で、薬剤師にも薬物乱用情報を提供してほしいこと、また、いわゆる健康食品の情報も含めて提供してほしいこと等の意見が得られ、次年度以降の研究に反映することとした。薬物乱用に関する情報を教材/資料のみならず講演等でも提供を求められたことから、毎年、シンポジウム形式でメンバー所属において持ち回りで開催することを決定した。
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