本研究の目的は違法ドラッグ等の毒性情報を活用した実効性の高い薬物乱用防止教育を実施することにある。現在、文部科学省等から数多く指導法や教材が提示され、ライフスキルの向上を目指した実践的な防止教育が行われている。しかし、乱用薬物の危険性を羅列するのではなく、医学・科学的根拠に基づいた系統的な教育手法は乏しく、科学的に裏付けをもった指導は必ずしも容易でない。 前年度、本学に転出する機会を得、薬物乱用防止シンポジウムを足立区薬剤師会と開催した。この企画を立案する過程や実施するにあたり、教育委員会や所轄警察との連携を形成することができ、また、地域の特性等を把握することが可能となった。引き続き、薬学会や社会薬学会等での違法ドラッグ公開シンポジウムのフォーラムの開催では薬学専門家から課題を収集できた。その中で、小中学校での防止教育では新しい乱用薬物の情報や研修の場が得にくいことが明らかになった。 そこで、我々が蓄積してきた情報を、実効性が高い教育活動を実践できるることを目指して作成した。海外の実態に関する情報(今後の課題の指摘を含め)、また、生体への危害性に関する知識などを含め科学的な情報や毒性予測を、各種機関への提供にも利用できるように配慮した。 特に、本年度は脱法ハーブの乱用が社会的な問題となり、関係機関や学会等の総説依頼や依頼講演、警察からの捜査協力や報道機関からの情報要請、また、保健所等が開催する講演会や勉強会に積極的に対応した。さらに、その過程では教育機関以外の医療機関等でも受け入れられるものであることから要請を受けられる物を目指した。
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