低酸素環境での運動が酸化ストレスにおよぼす効果の検証として、1年目の本年は、富士山五合目山頂往復によるフィールド実験をおこなった。被験者は鍛錬者、非鍛錬者あわせて18名とした。 1)酸化ストレスの定量 酸化ストレス度の指標として、血中ヒドロペルオキシド濃度を、d-ROMs法によって定量した。また、乳酸/ピルビン酸比(酵素法)、ヒポキサンチン(HPLC法)、ミエロペルオキシダーゼ(ELISA法)、proBNP(電気化学発光法)、エリスロポエチン(RIA法)、尿中8-OHdGおよびイソプラスタン(ELISA法)、免疫学的見地から唾液中のIgA(ELISA法)を測定し、酸化ストレスを多面的に評価するデータを収集した。 2)抗酸化剤の影響の評価 低分子化したポリフェノールであるOligonolを事前に2週間摂取させ、登山と高地馴化に対する酸化ストレス度の差異をプラセボ投与群と比較した。採取した血漿は、電子スピン共鳴法(ESR法)を用いてヒドロキシルラジカル発生量を測定し、直接抗酸化能を評価することとした。
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