研究課題/領域番号 |
22500661
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
大桑 哲男 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80115675)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 血液凝固 / 線溶 / ニトロチロシン / カルボニル化タンパク / 運動 / L-アルギンン摂取 / 糖尿病 / ラット |
研究概要 |
[目的]本研究はSTZ(ストレプトゾトシン)糖尿病ラットに運動とL-アルギニン摂取を処方し血液凝固・線溶と酸化ストレスに及ぼす影響を明らかにするために行った。[方法]8週齢のWistar系オスラットを体重が等しくなるように8群(①糖尿病対照群、②糖尿病+運動群、③糖尿病+アルギニン群、④糖尿病+運動+アルギニン群、⑤健常対照群、⑥健常+運動群、⑦健常+アルギンン群、⑧健常+運動+アルギニン群に分けた。糖尿病群はSTZを30mg/kg BWを腹腔内投与し作成した。運動は12~18m/minの速度で30分間、7日/週、4週間のトレッドミル運動とした。アルギニン摂取は2%アルギニン水溶液を作成し、自由摂取させた。測定項目は体重、血糖値(大静脈から採取)、血液線溶の指標としてプラスミノゲン活性化因子(t-PA, u-PA)、血液凝固の指標としてフィブリノゲン、タンパク質酸化の指標として、カルボニル化タンパク、ニトロチロシンを測定した。また抗酸化物質として還元型グルタチオン(GSH)を測定した。[結果]実験終了時(4週間後)の糖尿病対照群の血糖値は健常対照群に比べ有意に高い値であった。糖尿病群間で血糖値に有意な差は認められなかった。運動とアルギニン摂取を単独で処方した際には血液凝固は抑制され、線溶が亢進した。しかし運動+アルギニンの併用群は対照群と有意な差は認められなかった。タンパク質の酸化について、糖尿病+運動群、糖尿病+アルギニン摂取群のニトロチロシン生成量は糖尿病対照群に比べ有意に減少した。しかし、糖尿病ラットの運動+アルギニン摂取群は糖尿病対照群と比べ有意な差は認められなかった。[結論]糖尿病ラットへの運動とアルギニン投与は血液凝固と線溶に良い効果をもたらすが、それらをを併用するとその効果は消失することが明らかとなった。これは酸化ストレスが関与していることが推察される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の4年間の計画は次のとおりである。1年目は高齢ラット、2年目は肥満ラット、3年目は糖尿病ラットを対象に運動とL-アルギニン摂取が血液凝固・線溶、タンパク質酸化、および抗酸化機能に及ぼす影響を明らかにすることである。4年目は研究をまとめ、学会発表と論文作成し国際雑誌に投稿することである。計画に従い1年目は高齢ラット、2年目は肥満ラット、3年目は糖尿病ラットを対象に実験を行ってきた。過去3年間において、概ね仮説に近い結果が得られていることからほぼ順調に研究計画が進展していると自己評価している。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は本研究計画の最終年度である。昨年度に実施した試料のうち骨格筋の分析を行い、肝臓、腎臓、脳組織間の組織によるタンパク質酸化の関係を明らかにすること、昨年度国際雑誌(Redox Report)に投稿した論文(肥満ラットを対象にしての研究)の査読に対して返答すること、糖尿病ラットの研究をまとめ国内学会とヨーロッパ国際学会で発表すること、および国際学会に論文を投稿することが今年度の研究推進方策である。
|