特別な運動を行っていない60歳代(男性20名、女性18名)と70歳代(男性16名、女性14名)の被験者に使用した。各被験者から、研究室で開発した筋力測定装置を用いて、最大努力での大腿筋の屈曲、及び伸展筋力を測定した。さらに、安静時、及び異なる運動強度(低強度、中強度、高強度)での30分間の歩行前後に大腿筋の外側部と内側部(左右両側とも)の表面から血流量を測定して、基礎データを取得した。最大努力での大腿筋の屈曲、及び伸展筋力は、60歳代、70歳代の男女ともに、30代の男女の値(研究室で行った先行研究のデータ)と比較して有意に低い値を示した。また、高齢になるほど最大努力での大腿筋の屈曲、及び伸展筋力は低くなる結果を示した。安静時の血流量については、60歳代、70歳代の男女ともに、30代の男女の値(研究室で行った先行研究のデータ)と比較して有意に低い値を示した。さらに、低強度、中強度、高強度の歩行後の血流量を比較したところ、60歳代、70歳代の男女ともに、運動強度の増大に伴って血流量の増大が認められた。しかしながら、血流量が増大する割合は、高齢になるほど小さくなった。また、血流量が増大する割合は、男性と比較して女性では小さかりた。これらの結果は、外側部と内側部で同様であった。以上の結果より、高齢になるほど筋力や筋持久力の低下が認められること、また、それらの低下には血流量が影響しているものと推察された。
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