研究課題
我々は一般健康診断で動脈硬化の指標として、頸動脈内膜中膜肥厚(IMT)の測定を行ってきたが、経年的にIMTの進行を観察すると旧来の危険因子では説明できない症例が散見される。今回我々は新たな危険因子として、外因性リポ蛋白マーカーであるアポB48、アディポサイトカイン制御に関連する酸化ストレス、糖代謝と関連するとされるFGF21を測定し、IMT進行および生活習慣との関連を解析し、健診へのフィードバックを検討している。1)IMTの経年変化に影響をあたえるマーカー: 今回主に測定してきたアポB48、FGF21、TBARSは、2年あまりの観察期間のIMT変化の有意な決定因子とはならなかった。動脈硬化危険因子とは、それぞれ有意に関連していたので、短期間の観察では動脈硬化進展に影響がでない可能性を考えている。2)喫煙とIMTの経時的変化: しかし、この観察期間においても、喫煙とLDL-Cは独立してIMT悪化の有意な危険因子となっていた。さらに過去喫煙者においては喫煙本数よりも禁煙期間がIMTの変化に影響を与えており(Circ J 2012)、早い時期からの禁煙を勧めるデータとなった。そこで、禁煙を推進すべく、大学での喫煙率の推移を分析し、建物内禁煙の有効性が確認された(学会発表)。ただ近年は喫煙率が低下せず、積極的な介入を準備中である。3)新規の生活習慣病関連因子: 今回の研究で包括同意を得て保存した血清により、他研究室と共同で種々の新たな知見が得られた。動脈硬化と関連の深い蛋白尿が睡眠不足により悪化すること(Am J Kidney Dis 2012)、動脈硬化の原因とも考えられている慢性炎症のループ形成に重要なepiregulinがIMT肥厚群で高値となること(Cell Rep 2013)、血清テストステロン値がIMTと相関すること(Endcr J 2012)、などを示すことができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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