研究概要 |
本邦における高血圧者は4,000万人と推定されているので、地域住民、職域、学生を対象とした高血圧予防の啓発活動は、極めて重要である。高血圧の一次予防には生活習慣の修正が重要であるが、その中でも減塩を含めた食事療法が必須である。今まで我々は、本研究の先行研究として沖縄野菜を豊富に使った伝統的料理を現代風にアレンジした食事を提供し、無作為割付介入試験を行っている(チャンプルースタディ)。この一連の研究において、健康な若年女性に沖縄緑黄色野菜の摂取促進を行う介入研究を行ったところ、尿中カリウム排泄の有意な増加と尿中ナトリウム排泄の低下傾向を認めた。また、同様の対象者において心血管イベント発症の低減の予測因子とされている末梢血液中の血管内皮前駆細胞数が有意に増加することも確認した。さらに、沖縄野菜が豊富な伝統的な沖縄型食事を無作為化割付介入により米国人に摂取させたところ、DASH食と同様の降圧効果を示した。これらより、伝統的な沖縄型食事は高血圧に対する非薬物療法の可能性のひとつと考えられる。我々の提案しているチャンプルーダイエットはDASH食よりも歴史的に確立した沖縄食のほうが、工夫次第で若年者層にも受け入れやすい利点がある。昨年度はチャンプルーダイエットのレシピ本の改訂を行い、沖縄食介入プログラムを作成した。また、本プロジェクトの予備研究として、学生と教職員に生活習慣修正のプログラムを行った。プログラムの継続率が70%以上であったことを確認している。評価指標としては血圧値や臨床検査値のみではなく、食事や運動などの生活習慣の行動変容も指標に取り入れている。
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