研究課題/領域番号 |
22500671
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
久保田 恵 岡山県立大学, 保健福祉学部・栄養学科, 准教授 (80254564)
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キーワード | 中高年女性 / メタボリックシンドローム / 骨密度 |
研究概要 |
【目的】近年、国民のメタボリックシンドロームへの関心は非常に高まっている。特に女性では閉経により脂質代謝異常症や動脈硬化症を惹起するが、閉経後、どれぐらいの時間経過でこれらが顕在化してくるのか十分に解明されていない。メタボリックシンドローム予防のためには、肥満者の体重減少をはかることが第一義となる。しかしながら、体重減少は一般的には骨密度の低下を伴うことが多く、実際肥満は中高年女性の骨密度に対して保護的要因と考えられており、減量を伴う生活習慣への長期介入により、骨代謝にどのような影響があるのかはよくわかっていない。そこで、中高年女性を対象に骨密度に及ぼす体脂肪量とエストロゲン、レプチンの影響を検討した。【対象と方法】地域在住女性38名を継続対象、17名を新規対象とし7月に体脂肪率、踵骨骨密度、血中エストラジオール(E2)、レプチン、ビタミンKを測定した。同時に新規対象者のみVD-hSIF1遺伝子多型解析を行なった。【結果】(1)対象はやせ30人(24%)、普通肥満37人(35%)、隠れ肥満28人(31.5%)、肥満4人(2.5%)であった。継続対象のうち、隠れ肥満に14.5%とやせに7.5%が体格が変化した。(2)隠れ肥満群ではやせ群、普通群に比し、踵骨骨密度、及びレプチン濃度は有意に高く、逆にE2濃度は有意に低かった。(3)VD-hSIF1領域の多型はWT型15人(17.6%)、MT型27人(30.5%)、ヘテロ型人44(51.9%)であった。(4)hVD-SIF1多型別に踵骨骨密度を比較するとやせ群、普通群ではWT型>ヘテロ型>MT型の順で有意に高かったが、隠れ肥満群と肥満群では差がなかった。hVD-SIF1多型別に踵骨骨密度とレプチン濃度の関係を検討するとやせ/MT型群、普通/MT型群では踵骨骨密度とレプチン濃度有意に正の相関を示したが、隠れ肥満/MT型群と肥満/MT型群では有意な関連がなかった。(5)ビタミンKは若年成人女性の骨密度と関連がなかった。【結論】やせ体型、及び普通体型の中年成人女性では腸管からのCa吸収の遺伝的影響を強く受けるが、隠れ肥満の中高年成人女性では、脂肪細胞におけるレプチンが骨密度維持に寄与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
継続調査対象者の辞退が体調不良等の理由で11名見られたものの、新規参加者も17名確保でき、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の最終年度であることから、地域中高年女性を対象とした継続データの分析を行い、動物実験の結果とあわせて、中高年女性のメタボリックシンドローム是正を考慮した骨粗鬆症予防プログラムの提示を目指す。
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