卵巣摘出(OVX)動物は肥満を示すため、閉経期以降の女性の肥満症モデルとされるが、肥満成立の機序については十分解明されていないことから、この原因について雌ラットを用いて追究した。OVX 群の体重は術後より 3 カ月間の観察期間を通して対照(Sham)群と比べて著明な増加を示した。一方、OVX 群の摂食量は術後 2 ヵ月間有意な高値を示したが、その後は Sham 群とほぼ同量となった。このため、摂食量の増加だけが肥満の原因ではないと考えられる。また OVX 群の体温は Sham 群と比較して有意に低値を示したことから、OVX 群の基礎代謝は Sham 群より低いことが示唆された。以上の結果から、OVX ラットの肥満症は OVX 後初期の摂食量の増加に加え、基礎代謝が減少することによって惹起されるものと考えられる。
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