これまで、骨粗鬆症モデルマウスを用いた動物実験において、柑橘系フラボノイドであるヘスペリジン(配糖体)による骨粗鬆症予防効果に関して明らかにしてきたが、その作用機序などは多くは明らかになっていない。 本年度の目標として、1)ヘスペリジンのアグリコンであるヘスペレチンによる骨代謝調節作用が間接的なのか直接的なのかを明らかにする目的で、骨細胞培養実験系を構築し、検討した。マウスマクロファージ様細胞株RAW264細胞を用いてヘスペリジンのアグリコンであるヘスペリチンによる破骨細胞分化誘導への影響、2)卵巣摘出骨粗鬆症マウスにおけるメバロン酸合成経路へのヘスペリジンの影響 の2つについて検討を行った。 前者はRANKLを分化刺激し、十分な破骨細胞が形成されるのを確認した後にヘスペレチンを添加させたことで、破骨細胞の分化を抑制した。すなわち、アグリコンのヘスペレチンが破骨細胞を抑制し、骨量減少抑制作用がみられることが示唆された。一方、後者の実験では、これまでの検討結果から、ヘスペリジンの骨量減少抑制作用はコレステロール合成経路の上流よりも下流で作用することが推測されたことから検討を行ったところ、ファルネシルピロリン酸合成を阻害する可能性が示唆された。すなわち、ヘスペレチンあるいはヘスペリジンによって、ファルネシルピロリン酸が低下したことによって、破骨細胞または骨芽細胞の分化になんらかの影響を及ぼす可能性が考え、骨吸収抑制薬のビスフォスフォネートと同様な作用を示すことが推察された。
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