研究課題/領域番号 |
22500677
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
千葉 篤彦 上智大学, 理工学部, 准教授 (40207288)
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研究分担者 |
服部 淳彦 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (70183910)
岡田 隆 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (00242082)
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キーワード | 加齢 / 記憶 / 学習 / 物体認識試験 / 位置認識試験 / メラトニン / マウス |
研究概要 |
マウスに中年期(11ヶ月齢)から老年期(19ヶ月齢)にかけての8ヶ月間、メラトニンを飲み水に混ぜて与え続け、19ヶ月齢において、新奇性を好むマウスの性質を利用した物体認識試験および位置認識試験を採用して学習・記憶能力の評価を行った。物体認識試験では、獲得試行後1時間後および4時間後にテスト試行を行った。メラトニンを与えなかった対照群ではどちらのテスト試行において記憶の保持は認められなかったが、メラトニン投与群では、1時間後のテスト試行においてのみ記憶の保持が認められた。一方、位置認識試験では、獲得試行後15分後、30分後、および1時間後にテスト試行を行った。ここでも、メラトニンを与えなかった対照群では全てのテスト試行において記憶の保持は認められなかったが、メラトニン投与群では、15分後のテスト試行においてのみ記憶の保持が認められた。これらの試験において、マウスが各試行時間中に2つのオブジェクトを探索した時間の合計や観察箱内を移動した距離にはメラトニン投与群と対照群の間に有意な差は見られなかった。これらの結果は、これまでの研究で報告されているような老化促進モデルマウスを用いたり、X線照射などによる強い酸化ストレスを若い動物に与えることによる記憶障害に対するメラトニンの抑制効果ではなく、自然な老化における中年期から老年期にかけてのメラトニンの長期服用が、加齢性の記憶障害に一定の抑制効果があることを示唆している点で注目に値する。
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