研究課題
末梢動脈閉塞性患者(PAD)に対する運動療法の効果指標および効果的な運動方法の確立を目的として研究を行った。対象は血管外科を受診したPAD患者とした。検査項目は、PAD患者に対しては、心肺運動負荷試験(CPX)およびトレッドミルによる歩行試験を実施し、運動中の呼吸循環反応および外側広筋・腓腹筋における組織酸素動態の測定を行った。CPXにおいては、最高酸素摂取量(PeakVO2)および無酸素性作業閾値(AT)の評価を行った。また、トレッドミル検査の際には、無疼痛歩行距離(PFWD) および最大歩行距離(MWD)の測定を実施した。筋酸素動態の評価においては、安静時および運動終了時の酸素飽和度、運動終了後の酸素飽和度の回復時間(T1/2)を評価した。運動療法は、CPXにより得られたATの強度にて、1回30分、週1~2回の自転車エルゴメータによる有酸素運動を3か月間実施し、運動療法の効果について評価した。運動後の酸素飽和度の回復時間は、患側では健側と比較して延長する傾向であった。運動療法の前後において、PFWDおよびMWDは有意な延長を示し運動療法の効果が認められた。また、Peak VO2およびATも改善が認められ、心肺機能の改善が示唆された。運動終了時の酸素飽和度およびT1/2は外側広筋、腓腹筋の両者において改善が認められ、筋への酸素供給能の改善が示唆された。MWDと各種指標の関係を検討したところ、MWDの運動療法前後における改善率と腓腹筋におけるT1/2の改善率とは有意な相関を示し、歩行能力の改善には腓腹筋における筋有酸素能力が貢献していると考えられた。PAD患者に対する自転車エルゴメータによる運動療法は、最大歩行距離の改善に寄与し、歩行能力の改善には腓腹筋への酸素供給の改善が関係すると考えられ、CPX後の酸素飽和度の回復時間はPAD患者の有効な評価指標になると考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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