研究課題/領域番号 |
22500682
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
長谷川 昇 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (10156317)
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研究分担者 |
望月 美也子 東大阪大学, 短期大学部, 助教 (20367858)
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キーワード | 男性更年期 / 記憶力 / 活動量 / 運動トレーニング / ストレス |
研究概要 |
女性は、閉経によってエストロゲンレベルが急速に低下することにより、更年期の諸症状を惹起する。しかし、男性は、テストステロンの急激の低下が起こらないため、女性のような更年期の諸症状を惹起しないと考えられてきた。しかし、近年、中高年の男性においても女性の更年期と似た症状を呈することが明らかとなった。男性のこれらの症状について、アメリカ内分泌学会の定義では、「テストステロン低下で示される生化学的異常とそれに基づく症状・所見からなる症候群」とされており、androgen deficiency in aging male(ADAM)あるいはpartial androge xdeficiency in aging male(PADAM)と認識され、ADAM、PADAMという診断名が用いられている。そこで、本研究では、継続的な運動トレーニングが更年期の意欲やストレス、テストステロン低下にともなう記憶と行動生理学的変化を予防できるかどうかを明らかにすることを目的とする。 I県内在住の成人男性(45歳~55歳)15名に対し、1回45分・週1回・12ケ月間の運動教室を実施した。運動教室の実施前後で、「活動量計」による身体活動量の24時間記録と「身体組成計」による身体計測を行い、運動教室の実施による身体組成変化を明らかにした。さらに、運動教室実施前と実施6ヶ月後に、「標準意欲評価法」を指標として、週1回の運動トレーニング効果が意欲に及ぼす影響ついて検討した。同時に、被験者の唾液を採取し、唾液中のストレスホルモンである、コルチゾール、テストステロン濃度を測定した。 6ヶ月に及ぶ運動教室の実施により、ほとんどの被験者が、唾液中のストレスホルモンが減少することが明らかとなった。また、全体の40%の被験者で「意欲の向上」が認められた。さらに、60%の被験者で「テストステロン濃度の上昇」が認められた。 以上の事実から、本研究で実施した運動トレーニングは、男性更年期の症状緩和に有効であることが明らかとなった。次年度は、今回明らかとなった研究結果を生かし、より継続的な効果について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
介入研究の結果、予想された結果が得られており、おおむね順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、運動トレーニングの実施を継続しており、12ヵ月後の意欲調査と唾液中のストレスホルモン、テストステロン濃度を測定する予定である。
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