骨粗鬆症モデルマウスである老化促進マウス(SAMP6)の雌4週齢に対して、早期に骨量減少を来す目的で卵巣を摘出し、骨量の変動を20週齢まで検討した。この結果、皮質骨密度、海綿骨密度ともコントロールと差を認めず、骨粗鬆症は発症しなかった。そこで、重力の影響を除外する目的で、6週齢の雄SAMP6に対して、水浸ストレス(WRS)を行なった。WRSは拘束状態のSAMP6を24℃の水中に1日6時間浸し、この状態を週5日、4週間実施した。4週後に屠殺して大腿骨を摘出した後、小動物用X線CT装置で骨密度を測定した。測定部位は大腿骨遠位端である。WRS群では、海綿骨密度はコントロールに比べて有意に減少したが、皮質骨密度は差を認めなかった。さらに、骨代謝マーカーの変動を測定したところ、骨形成マーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)とGla-osteocalcin(Gla)、及び骨吸収マーカーである酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ(TRACP5b)は差を認めなかった。しかし、総osteocalcinと、コラーゲン代謝産物であるC末端テロペプチド(CTX)はWRS群で有意に高かった。このことは骨形成の抑制とコラーゲンの分解を示唆しており、SAMP6にWRSを行うと4週間という比較的短時間で骨密度が減少することが明らかとなった。来年度はこのモデルを用いて、骨代謝におけるビタミンK2の作用を明らかにする予定である。
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