研究課題
老化促進マウスP6(SAMP6)で骨粗鬆症を惹起するためには、30週齢ほどの長期間の観察が必要となる。水浸拘束ストレス(WIRS)はストレス性消化管出血のモデルとして広く利用されているが、1日6時間、週5日間を4週間行なうことにより、骨量が減少することを発見した。そこで、6週齢雄SAMP6を用いて、水浸拘束ストレスを4週間実施し、このWIRSによる骨量減少に対するビタミンK2(VK2)の効果を骨代謝マーカーや骨形態計測により判定した。まず、WIRSによる発育遅延は認めなかった。大腿骨遠位端の骨量を小動物用X線CT装置で測定したところ、海綿骨、皮質骨ともWIRS群で有意に減少した。VK2投与により海綿骨量が回復する可能性が示唆された。又、骨代謝マーカーの変動では、尿中カルシウム量はWIRSにより増加するが、VK2により回復することが示された。骨吸収マーカーはWIRSで増加したが、骨形成マーカーは変動しなかった。次に、骨形態計測により骨の微細な構造を検討した。骨構造パラメーターでは、二次海綿骨の骨梁は島状で連続性が途絶しており、このマウス種の特徴と考えられた。さらにWIRSにより骨梁が細く小型となるが、VK2により丸みを帯びてやや大型化した。骨吸収パラメーターでは、コントロール群と比較してWIRS群で大型の多核破骨細胞と広い吸収窩を認めた。VK2により多核破骨細胞は減少し、吸収窩も縮小した。骨形成パラメーターではWIRSによる骨芽細胞の増加と類骨形成及び石灰化速度の亢進を認めた。VK2はさらに骨芽細胞を増加させ、骨形成を促進した。以上より、WIRSは骨吸収と骨形成が亢進する高代謝回転型の骨量減少を誘発するが、VK2は骨吸収を抑制して、骨形成を亢進する形成優位の高代謝回転となり、骨量減少を抑制することが明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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