研究課題
基盤研究(C)
骨粗鬆症を惹起する老化促進マウスP6(SAMP6)は種々の生理活性物質の効果を判定するために使用される。水浸拘束ストレス(WRS)を1日6時間、週5日間、4週間行なうことによりSAMP6の骨量が減少したので、6週齢雄SAMP6を用いて、WRSによる骨量減少に対するビタミンK2(VK2)の効果を骨代謝マーカーや骨形態計測により判定した。大腿骨遠位端の骨量を小動物用X線CT装置で測定したところ、海綿骨量、皮質骨量ともWRS群で有意に減少した。さらに、VK2投与により海綿骨量が回復する可能性が示唆された。一方、骨代謝マーカーの変動を検討したところ、骨形成マーカーは変動しなかったが、骨吸収マーカーはI型コラーゲン架橋C-テロペプチド(CTX)がWRS群とWRS+VK2群で高値を示した。尿中カルシウム量はWRSにより増加したが、VK2により回復した。次に、骨形態計測により骨の微細な構造を検討した。骨構造パラメーターでは、コントロール群の二次海綿骨の骨梁は島状で連続性が途絶しており、このマウス種の特徴と考えられた。さらにWRSにより骨梁が細く小型となったが、VK2により丸みを帯びてやや大型化した。骨吸収パラメーターでは、コントロール群と比較してWRS群で大型の多核破骨細胞と広い吸収窩を認めた。VK2により多核破骨細胞は減少し、吸収窩も縮小した。骨形成パラメーターではWRSによる骨芽細胞の増加と類骨形成及び石灰化速度の亢進を認めた。VK2はさらに骨芽細胞を増加させ、骨形成を促進した。以上より、WRSは骨吸収と骨形成が亢進する高代謝回転型の骨量減少を誘発するが、VK2は骨吸収を抑制して、骨形成を亢進する形成優位の高代謝回転となり、骨量減少を抑制することが明らかとなった。
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Chemico-Biological Interactions
巻: 190 ページ: 54-61