研究課題/領域番号 |
22500686
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研究機関 | 公益財団法人田附興風会 |
研究代表者 |
羽田 敦子 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第4研究部, 研究主幹 (70321685)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 水痘帯状疱疹ウイルス / 水痘ワクチン / 糖尿病 / 帯状疱疹 / 皮内テスト / ELISPOT / ウイルス特異的免疫能 / 肺炎球菌ワクチン |
研究概要 |
【背景と目的】市販の水痘生ワクチン接種は、糖尿病患者の水痘帯状疱疹ウイルス(以下VZV)に対する特異的免疫能は健常高齢者と同等に増強した(Hata A.J Infect. 2013 Apr 18.)。 【方法】高齢糖尿病患者を対象に水痘生ワクチンとプラセボとのランダム化二重盲検比較試験を行った。被験者確保のため成人用肺炎球菌ワクチンを同時接種した。対象は、60歳以上75歳未満でHbA1c が7-9.5の糖尿病患者。喫煙者、悪性疾患や膠原病などを除外した。対象者に対し、乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」(以下、水痘生ワクチン)またはプラセボ(注射液)を接種し、0、3ヵ月後に血液を採取し、水痘抗原皮内テスト(陰性0‐強陽性3)とELISPOT assayでは末梢血単核球4 x 105 cellsあたりのVZV刺激-NC刺激細胞数をカウントし、IAHA法で抗体価を測定した。 【結果】Placebo(P)群27名(平均年齢65.8歳、男性17、女性10)、Vaccine(V)群25名(平均年齢66.7歳、男性12、女性13)が試験完結した。皮内テストの接種前と3か月後のスコア平均差はP群0.1(±0.2 S.E.)、V群0.4(±0.2)と有意差はなかった。ELISPOTは、解析できた各々15名ずつで接種前後の平均変化率はP群2.3(±1.2)、V群2.1(±0.9)倍といずれも上昇がみられたが、各群間に有意差はなかった。IAHA(Log2)抗体価は、P、V群各々接種前から接種3か月後の変化率で平均1.0(±0.0)、1.1(±0.0)で、両群とも有意な変化はみられなかった。観察期間中に帯状疱疹に罹患した者はいなかった。 【考察】前研究に比較して低反応であったのは、対象に血糖降下薬としてDPP4-inhibitorが使われたこと、及び成人用肺炎球菌ワクチンの同時接種による影響などが推察された。 【結論】糖尿病患者におけるランダム化二重盲検比較試験において、水痘生ワクチンはプラセボに比してVZVに対する特異的免疫を有意に賦活化できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
接種は平成22年度から平成25年4月までとしたが、エントリーと観察が終了している。
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今後の研究の推進方策 |
研究結果より、皮内テスト、ELISPOT、抗体価の結果では、プラセボとワクチン接種群において、統計学的有意差がなかった。原因として、被験者を集めるため同時に接種した肺炎球菌ワクチンの影響が推定された。このため従来の研究計画に追加し、肺炎球菌抗体価が増強されているかどうかを調べることになった。残血清を用いて平成27年3月までに確認の予定である。
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