PPARγの組織特異的転写活性調節機構の解析 飽和脂肪酸を多く含む高脂肪食、あるいは不飽和脂肪酸を多く含む高脂肪食をマウスに食べさせると、投与後4週で飽和脂肪酸を多く含む高脂肪食を食べたマウスは肝臓でPPARγ2の発現が上昇し脂肪肝を発症することがわかった。肝臓ではPPARγ2の標的遺伝子CD36やADRPの発現も増加していたが、sterol regulatory element-binding protein (SREBP)-1cやその標的遺伝子の発現に変化は見られなかった。そこで、マウスに4週間各々の高脂肪食を食べさせたのち、PPARγ2mRNAをノックダウンするshRNAを発現するアデノウィルスを発現させることによって、肝臓特異的にPPARγ2の発現を減少させたところ、肝臓PPARγ2の発現を減少させるとともに、脂肪肝を改善できた。同様に、マウスに大豆タンパクを高脂肪食とともに摂取させた場合、肝臓におけるPPARγ2の発現を減少させるとともに脂肪肝発症を予防することができた。さらに、長期にわたって高脂肪食を摂取させ、脂肪肝および肥満を発症させたマウスの各組織からRNAを精製し、マイクロアレイを用いて遺伝子発現変化について解析を行った結果、肝臓のみならず、脂肪組織、筋肉でも種々の遺伝子発現が変化していたが、肝臓における遺伝子発現変化が最も大きいことがわかった。これらの結果から、肝臓におけるPPARγ2の発現増加は脂肪肝発症に大きく関係していることが明らかになった。
|