高脂肪食を長期投与したマウスは普通食を摂取したマウスに比べ、肝臓では脂肪が蓄積し、PPARγ2の発現が3倍に増加し、標的遺伝子であるCD36の発現も3倍に増加していた。しかし、同じ標的遺伝子であるaP2の発現は変化しなかった。PPARγ1の発現には変化がみられなかった。また、違う系統のマウスを用いて同様に高脂肪食を摂取させた場合は、肝臓でのPPARγ2の発現が少ないにもかかわらず脂肪が蓄積していた。PPARαに関しては両マウスともに発現変化はみられなかったが、標的遺伝子のうちMCADの発現は増加していた。また、両マウスともに脂肪組織ではPPARγ1及び2の発現に変化はみられなかった。LPLもPPARの標的遺伝子でありPPREの存在も知られている。LPL発現量がもともと全ての組織において少ないマウスは、脂肪を摂取してもPPARγの発現が増加するにもかかわらずLPLの発現が増えず、血中中性脂肪濃度が食後に非常に高い濃度に増加することが明らかになった。リポプロテイン解析したところ、キロミクロンとVLDLに分画される画分が増加していた。このLPL発現が少ないマウスは、高脂肪食を摂取させるとより肥満になりやすく、皮下脂肪、腸間膜脂肪組織、肝臓重量が増加し、肝臓脂肪もより蓄積することがわかった。他の系統のマウスについても脂肪摂取による血中中性脂肪濃度増加について調べたが、これほど増加を示すマウスは無く、脂肪摂取により高脂血症を呈すよいモデルマウスになると考えられた。
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