多重債務者の生活支援の実情把握をするために、かながわ生活支援相談センターよりヒアリングを行った。同センターは業務開始より日は浅いものの、生活支援相談員の専門性を高めるため、事例検討会等を通じ常により効果的な支援相談の在り様をグループミーティングにより向上させる努力がうかがわれた。また、それを支える専門カウンセラーの指導を研修の機会を設け実施し、質の確保を行っていた。さらに、フランス調査を重点化して行った。同調査では、フランスの家庭経済ソーシャルワーカー(CESF)が、生活全般を個別的に丁寧に行っており、家計簿指導や、借金相談、就業相談、消費者破産手続き等に至るまで、家庭訪問によるカウンセリングを中心にしつつ行っていた。また、このソーシャルワーカーの育成について調査したところ、職能開発センター(職業訓練校)で一定のプログラムにより、国家規模で行われていることが確認された。ただし、パリ18区の家族手当金庫(CAF)とパリから200kmほど離れた同金庫における相談体制の違いを見出すことができた。地方都市ではパリ市内にくらべき、対応にきめ細かさを感じるとともに、就労支援なども充実している点が窺われた。入手資料では、CESFの育成プログラムでは、2年間以上かけて家計管理、家族関係、経済、福祉、心理学、カウンセリング技法など時間をかけて学習することが徹底して行われていることが理解できた。
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