研究課題/領域番号 |
22500693
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
西村 隆男 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (40242375)
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キーワード | 家庭経営 / 家計管理 / 生活支援 / 多重債務者 / セーフティネット |
研究概要 |
多重債務者の生活再建を支援する人材として、フランスにおけるCESF(家庭経済支援カウンセラー)の活動に注目し、再度の現地ヒアリングや資料収集を中心に調査を進めた。また、東北大震災後の岩手県内のローン被災状況についての情報収集を行った。 とくに、フランスのCESFは異色な存在であり、多重債務者をはじめ、社会福祉的支援を受ける世帯を全般的にサポートしている実情を把握することができた。CESFの育成に関しては、職能開発センターでの2年以上にわたる専門教育によって、そのプロフェッショナル性を身に着けている。職業リセからのコースや、大学卒コース、福祉専門職経験コースなどいくつかのルートを経て、センターで技能習得を行う。最終的な資格付与は国家試験による。 就職先は家族手当金庫、病院、行政(市役所など)、地域の家族の家などがある。実際に家庭を訪問し、家計の債務状況を把握するために請求書の整理をしたり、国立フランス銀行の多重債務委員会に提出する書類記入を手助けするなど、セーフティネットとも言うべききめ細かい支援を行っていた。 日本では社会福祉部門では、緊急貸付を行うなど金銭給付は行っても、家計をカウンセリングするような対応はとられておらず、弁護士会や司法書士会その他、個別的な対応に依っている。専門職として対応できるカウンセリング的支援をシステムとしてどう構築するかが大きな課題となると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に続き今年度のフランス調査を実施することで、フランスにおけるCESFの活動実態とその育成の考え方や方向性が明確になってきている。資料翻訳を追加する必要はあるものの、現地調査によって、職能開発センターに通学するCESF志願制との交流の機会を持つなど、今年度の新たな成果もあげることができたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度では、本研究課題のとりまとめとして、日本における多重債務者生活支援の専門家をどう育成していくべきかを海外事例を参照しつつ、明示したいと考えている。社会福祉研究者や」実践家との交流の機会を得て、可能な方向を見定めたい。
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