研究課題
研究1年目の本年は、思いやりに関する文献研究とその教育の探索的実践研究を中心に進めた。得丸と田宮、研究協力者の郷堀、名嘉は、思いやり育成教育を中心に進め、VLF(Voice of Love and Freedom)の提唱者R・セルマン教授から直接情報を入手し、VLFの改変版思いやり育成教育として、マインドフルネス瞑想と絵本を組み合わせる教育方法を試みた。その教育実践後の評価を統計処理した結果、改変版思いやり教育実施群は対象群よりも種々な点で有意な差が得られ、本研究の有用性を明らかにした。さらに、研究協力者(藤腹、坂井、郷堀、名嘉)は各自の専門的視点から、以下のように研究を進めてきた。藤腹は、本研究の研究目的、研究計画・方法等の中で用いられている主要概念としての「死生観教育」「いのち教育」「いのち・命・生命」「魂」「癒し」等について確認し、概念化する作業を行った。坂井は、死者、他界などのキーワードのもとに、人間関係としてのケア領域の広がりについて考察し、そうした語りの意義について、スピリチュアルケアの一つの方向性として展開する可能性を示唆した。郷堀は、人間関係育成教育実践について、複数世代が交流する場となる伝統行事を対象に、主に教育的機能に関する検討および考察を行った。名嘉は、人間関係育成教育について、世代間交流の視座から先行研究の収集を行った。また、地域に根ざした継続的な世代間交流による効果を評価するフィールドを選定し本格的活動へ向け準備を進めている。
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