研究課題/領域番号 |
22500694
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
得丸 定子 上越教育大学, 大学院・学校教育研究科, 教授 (00293267)
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研究分担者 |
田宮 仁 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (60155257)
ゴウホリ ヨゼフ 上越教育大学, 専修研究員 (80611152)
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キーワード | 人間関係 / 死生観 / 世代間交流 / 地域文化 / 子ども / 高齢者 |
研究概要 |
本年度は人間関係育成として、震災に関連した研究を主軸として、各分担研究に取り組み、また、震災後の心理的ケアと防災教育について一年後の3.11に国際セミナーを開催した。以下に各研究分担者・協力者の取り組みを記す。 得丸は、自分と自分を取り巻く人々の「生きる力」育成の基盤と考えられる、ストレス低減に着目して研究を進めた。学校教育で実践可能な瞑想を実践し、その効果を評価した。これは災害後の心身ケア、ひいては人間関係の改善にも通じる取り組みである。 田官は、ウェバーの「来世がすべてであって」等を用いて、今回の大震災・大津波での犠牲者への悼みの在り様について死生観との関係で考察し、続いて、福島原力事故を取り上げ、「科学的」への無条件の信仰にも似た見方を変える「科学改革」つまり、科学に対する人間の関わり方の改革が必要であることを考察した。 藤腹は、特に老年者の生死観と「死に支度」の在りようについて情報収集をするとともに、老年者の老い支度についての考察を試みた。今後、被災者ケアを含む看護の視点から研究課題の最終報告にもつなげていく予定である。 郷堀は、伝統行事をキーに人間関係の在り方や構造に着眼した。第1に終末期医療におけるスタッフー患者-家族(遺族)-地域-宗教家の諸関係に関するフィールド研究を行った。第2に伝統行事が与える人間関係形成への影響について文化比較考察を行った。 坂井は、人間同士の交流の中に、死者や神仏などと関係しつつ生きるという視座を導入することで、生のみならず死の向う側をも含んだ人間関係の世界の構造化を図り、多層的な死生観構築の考察を進めた。 名嘉は、地域における「人間関係育成」に視座を置き、民間団体運営の地域サロンでのフィールド研究を進めた。今後は、高齢者のインフォーマル介護予防事業の在り方と、その継続利用の実現要因を探索的に明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢者の生きがい感を高め、子どもの生き方論教育に及ぶ人間関係育成プログラムは作成し、実践を試みている点は、計画どおりである。今日の日本の社会や若者の生き方に類似しているチェコ(プラハを中心とする)での調査は、概ね進んでいる。また、研究成果の還元として、災害後のグリーフケアについて、人間関係に関する視点からのセミナーを開催した点も計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、研究最終年度であるため、以下の4点についてのこれまでの研究まとめに重点を置くと共に、本研究報告書を作成する。(1)死生観に関連した世代間交流の語句の定義、概念、先行研究、実践事例をまとめる。(2)死生観に関する中欧チェコ(プラハを中心)と上越市(並びに近隣)との比較調査研究をまとめる。(3)高齢者と子どもとの人間関係プログラム案完成とその実践。(4)3年間の研究還元のためのe-ラーニング教材の作成と配布。
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