研究課題/領域番号 |
22500696
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
夫馬 佳代子 岐阜大学, 教育学部, 教授 (70249291)
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キーワード | 翻訳家事書 / 家事教育 / 模範家庭 / 生活改善運動 / 家事教育 |
研究概要 |
研究目的としては、明治・大正期の翻訳家事書の分析を通して、当時の学校教育である家事教育の中で如何なる家庭像を創りあげようと試みたかを明らかにすることを目的とした。 本年度の研究実績は、研究計画に平成23年度実施予定内容として示した研究項目について以下のような成果を出した。 (1)明治期の翻訳家事教科書『模範家庭』の原典を英国ボドリアン図書館にて入手し、翻訳教科書と原典との内容比較を、研究論文として報告した(名古屋大学大学院教育発達科学研究紀要第58巻第1号。2011)。 (2)前年度の継続として、明治の女子教育と家事教育について明治期の翻訳家事書の内容から捉えた時代が理想とした家庭生活像について、明治期の教科書分析により課題を明らかにした。この成果については今年度2012年に日本生活文化史学会『生活文化史』投稿予定である。 (3)今年度新たに大正期の翻訳家事書「模範家庭」に関する資料収集を、イギリスのボドリアン図書館において行い(2011・3)、翻訳書と教師用指導書との内容比較に取り組んだ。その成果については2011年12月、日本風俗史学会中部支部において発表し、今年度その内容を日本風俗史学会中部研究紀要に掲載予定である。 (4)前年度の継続として、大正期の生活改善運動と主婦像及び大正期の婦人向け雑誌における生活改善と新たな主婦像については、大正期の家事書及び同時期に発刊された婦人向け雑誌30冊を対象に関連項目に関する分析を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究のテーマは、翻訳家事書とその原典との対比をもとに大正期に求められた模範家庭を明らかにすることであったが、本研究で重要な資料となる原典の人手が比較的順調に行うことができた点が研究成果に結びついたと考えている。また、本研究に関する研究成果の発表の機会、研究報告の機会を得たことも研究成果をまとめる上で有効であったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度が本研究テーマの最終年度となるため、3年間の研究成果を整理しまとめる年度としたい。具体的には以下に示す3点について報告する予定である。 (1)時代が理想とした家庭生活像について、明治・大正期の教科書分析の成果について、2012年に日本生活文化史学会『生活文化史』投稿予定である。 (2)翻訳家事書と原典の内容比較に取り組んだ成果については2011年12月日本風俗史学会中部支部において発表したが、今年度その内容を平成24年日本風俗史学会中部研究紀要に掲載予定である。 (3)3年間の本研究成果のまとめの報告書を7月から執筆予定である。
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