研究課題/領域番号 |
22500701
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研究機関 | 大阪千代田短期大学 |
研究代表者 |
神田 直子 大阪千代田短期大学, 幼児教育科, 教授 (30117783)
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キーワード | 保育学 / 発達障害 / 子育て支援 / 経済的格差 |
研究概要 |
6回目の調査内容の分析を代表者と連携研究者山本理絵愛知県立大学教授とが行った。会場は愛知県立大学山本理絵研究室。他の連携研究者からも、分析の示唆を、学会出席時やメール送受信により受けた。 それにもとづき、まず全体的な結果を学年別に分析し、「小・中学生をもつ親の子育て状況と不安、子どもの特性-『第6回愛知の子ども縦断調査』結果第一報-」(大阪千代田短大紀要第40号)としてまとめた。これまでに行った5回の調査結果も加味し、次のような結果が明らかとなった。すなわち、年齢が上がるにつれて、勉強や進路に関しての親の不安が高くなる一方で、地域のネットワーク(子どもの友達の親とのつながり、地域社会・行事への参加など)への親の参加が減少していくということである。中学生の親では、学業に関する不安が高まるが、それを相談しあう親仲間が減少していくという困難な状況が浮き彫りにされた。 本科研研究はその目的として、「育児困難な親子へ支援に関する思春期にまでの縦断的研究:経済格差・発達障害を中心に」を掲げており、以前の筆者らの研究では、経済的に低い層では近隣ネットワークが薄いこと、子どもの発達障害傾向(疑いも含む)がある場合、親の不安感が高く、また支援は一般的な親支援ではなく、障害特性に応じた支援要求があることが示されていた。子どもが中学生になると、経済的格差という家庭の状況、発達障害を中心とする子どもの特性はより強力に子育て不安に関連すると予想される。これらの関連分析、及び「子どもの特性、家庭の状況に応じた支援」のありかたについて、今後研究を進めていく必要がある。 また、次年度末には、第7回の縦断調査も予定している。調査協力者は確保しているので、調査項目を共同研究者とともに立案しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度末実施の第6回調査の結果をデータベースに入力し、縦断的・横断的分析の準備を整えることができた。分析の第一歩として、全体的結果を、学年別に分析したものを論文化した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、上記第6回調査結果を、科研全体の目的である「経済的格差」、「子どもの発達障害傾向」によって分析を行い、論文化する予定である。そのために、各種学会に出席し、分析結果を発表し、議論に参加する予定である。 縦断研究分析に必要な高度な分析手法(たとえば共分散構造分析)が十分に駆使することができないことが問題点である。その対応策として、IBM社のSPSSパス解析研修など、高度な分析手法に関する研修会に参加することを予定している。また、そのような分析手法に詳しい人のアドバイスを受けることも考慮したい。
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