研究課題/領域番号 |
22500701
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研究機関 | 大阪千代田短期大学 |
研究代表者 |
神田 直子 大阪千代田短期大学, 幼児教育科, 教授 (30117783)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 保育学 / 発達障害 / 子育て支援 / 経済的格差 |
研究概要 |
第7回調査の設計を代表者と連携研究者山本理絵愛知県立大学教授とによって行い、他の連携研究者からも学会出席時やメール送受信により示唆を受けた。それにもとづき、調査を2013年3月に実施した。現在回答が寄せられているところで、来年度データ入力、分析を行う予定である。 一方、第6回調査結果の分析を進め、論文化した(大阪千代田短期大学紀要41号)。縦断調査回答協力者の子どもたちは、現在小学校5年生~中学1年生となっている。この子どもたちのうち、LD傾向やPDD傾向のある子ども(疑いも含む)の親が、一般群に比べどのような困難感を持っているかを分析した。 その結果次のようなことが分かった。 LD高群(LD傾向をもつ子どもの親、以下同様)およびPDD高群では、子育て不安、心身の疲れが高く、育児満足感が低い。また、これらの群では「子どもの友達や自分自身の親仲間」「勉強についていけないのではないか」など、学校関連の不安も高い。 一般群より下の方学業成績レベルに位置すると自認している親が多いが、特に中一のLD高群ではすべて「中の下」以下と応えており、学年進行とともに、子どもの学業については深刻に受け止めている。 子どものしていることを黙って見ていられなくて干渉したり子どもを感情的に叱ってしまう比率が高い。また、子どもの学校生活についての心配ごとを学校の教師に相談したことがある人も8~9割おり、一般群の親より多い。しかし親のネットワークは高学年ほど一般群に比べ希薄になっており、学校の教師がこれらの親への相談相手となる比率が高くなっている。しかし「先生はわが子の個性を理解してくれている」と感じている比率は一般群に比べて低い。 したがって、これらの親子に対する教師の専門的な力量、親子や教師へのサポートネットワークを形成していくことが、この年齢段階での今後の課題の一つとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データベースに入力した「愛知の子ども縦断調査第6回」の分析を行っている。発達障害を中心にした分析は行い、論文化したが、経済的格差の視点からの分析が、進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、多くの調査回答者の協力により、1歳から中学3年生までの子育てについて、大量の縦断調査データを得ることができた。研究計画通り7回の調査を終え、今後はそれを様々な視点より、縦断的に分析していきた。分析の視点としては、経済的格差および発達障害傾向である。そのために、各種学会に出席し、分析結果を発表し、議論に参加する予定である。また縦断研究分野に必要な高度な分析手法を得るための研修会などに参加していきたい。
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