研究課題/領域番号 |
22500703
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
平田 紀美子 日本医科大学, 大学院・医学研究科, テクニカルスタッフ (70445815)
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研究分担者 |
川田 智之 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00224791)
稲垣 弘文 日本医科大学, 医学部, 講師 (50213111)
勝又 聖夫 日本医科大学, 医学部, 助教 (80169482)
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キーワード | 禁煙支援 / 唾液 / POCT / 妊産婦 / タバコ煙 / HPLC / ニコチン / コチニン |
研究概要 |
本研究はタバコ煙中ガス成分測定をPoint of Care Testing(POCT)という概念として捉え、女性、特に妊産婦の禁煙支援や禁煙アドバイス・受動喫煙防止のための新しいツールとして用い、その禁煙支援や受動喫煙防止の効果の有用性を検証し、タバコ煙曝露の健康影響を継続的にアプローチする方法の構築を目的としている。 当該年度は協力の得られた新入学の看護学生を対象に、タバコ煙(主流煙、副流煙)中ガス成分(一酸化炭素(CO)及びアルデヒド類(HCHO))測定を対象者の目の前で行う実習を含めた喫煙の健康影響の講義を実施し、タバコや喫煙に関する意識の変化を講義及びタバコ煙中のガス成分測定実習の前後に、加濃式社会的ニコチン依存度テスト(KTSND ver.2.1)を用いてアンケート調査を行なった。 実習後のアンケートでは、タバコの有害性について全ての学生が認識したと回答し、考え方は83.1%の学生が変わったと回答した。変わらなかった者の中には、元々タバコに対し良いイメージが無かったので変わらないと回答した者も含まれると考えられる。 KTSNDはニコチン依存のうち、心理的依存(特にタバコに対する認知の歪み)を判定する質問票で、点数が高いほど喫煙を美化、合理化し、害を否定する意識が強い。今回の解析した70名は非喫煙者であったが、実習前の得点は10.2と正常範囲(0~9点)を超えていた。実習後には5.2と有意に低下し、タバコに対する認知の歪みが矯正された可能性がある。 自由記載では、自分自身が非喫煙者であっても、家族や友人など身近にいる喫煙者へ禁煙を勧めようとする意見も見受けられ、タバコに対する考え方や意識に変化がみられた。 タバコ煙に含まれる身近なガス成分であるCOやHCHOを測定することは漠然としていたタバコの害をより鮮明に意識できるようになり、POCTとして有用であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り女性(看護学生)を対象にPOCT(タバコ煙中ガス成分分析)と喫煙に関するアンケート調査を行うことができた。機器の不具合で唾液中ニコチンと代謝物の測定は遅れているが、協力の得られた自治体が行っている両親学級での禁煙支援や唾液の採取も進んでいる。また、次年度も看護学生対象とした防煙教育を実施することが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
女性・妊産婦を対象にPOCTを用いて禁煙支援や受動喫煙の健康影響のレクチャー、防煙教育を引き続き行う。POCTとして、タバコ煙中ガス成分測定の他に、呼気中一酸化炭素濃度測定を実施する。さらに、禁煙の持続や受動喫煙によるタバコ煙曝露状況を確認するため、唾液中のニコチンやコチニン等の代謝物を測定し、禁煙継続のフォローアップに繋げる。
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