本年度は、最終年度にあたるため、これまでの研究の補足とまとめを中心にした。調査結果をもとに論文を執筆するに際して、外国の情報を補充する必要があったため、フランスの消費者団体と仏弁護士など関係者に対するインタビュー調査を実施した。アメリカについては、文献調査を中心に行い、必要な情報については、現地の協力者にリサーチを依頼した。 具体的な成果としては、集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の導入を控え、消費者政策の変革が進められる中、これまでの消費者団体の態様にどのような変化が表れているか、今後どのように展開していくかについて調査研究を論文にまとめている。諸外国との比較考察も含め、関係者が海外の情報を得ることができるよう、有益な情報はできるだけ公刊する所存である。 主な成果としては、「消費者政策をめぐる消費者団体の態様の変化と今後の展開(1)」「国民生活研究」第52巻第2号(2012年9月)pp.18-33、「消費者政策をめぐる消費者団体の態様の変化と今後の展開(2)」「国民生活研究」第52巻第4号(2013年3月)pp.1-18として発表しているが、本稿は、3部構成のため、2013年中に最終回を公刊する予定である。最終回では、これまでの消費者運動と消費者団体の歴史的な変遷や、現在の特徴について整理してきたことを踏まえ、日本の消費者団体の現代的課題と今後の展開についてまとめる。 なお、本研究においては、消費者庁の創設による消費者政策の変革と消費者団体の関わりに重点を置いたため、企業の役割について十分に研究できなかった。今後の継続課題としたい。
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