<目的>一昨年、昨年の調査では、幼児の起床状況が健康状態や体温調節機能、さらに唾液ストレス指標(コルチゾール、分泌型免疫グロブリンA(s-IgA))に影響を及ぼし、基本的生活習慣の確立に重要であると推察されたが、それには食事内容も関連する事が示唆された。本研究では、幼児の唾液コルチゾール濃度と生活習慣や食事摂取状況を調査し、母親についても同様の調査を実施し子どもとの関連を検討した。 <方法>保護者の同意が得られた幼稚園に通園する5歳児7名(男児4名、女児3名)とその母親を対象とした。睡眠覚醒リズムに関するアンケート調査:睡眠覚醒リズム、生活習慣、健康状態に関する項目からなる。体温・唾液コルチゾールの測定:9月の3日間実施した。体温は1日7回測定し、唾液は起床時、登園時、降園時、就寝時の4回採取した。食事摂取状況調査:3日間の食事内容を保護者に記録を依頼した。また、活動水準を把握するため1週間の歩数を測定した。 <主な結果>幼児の平均就寝時刻は20時41分、平均起床時刻は6時59分、平均睡眠時間は10時間17分であり、睡眠状況は良好であった。唾液コルチゾールの平均値は起床時0.274μg/dl、登園時0.105μg/dl、降園時0.092μg/dl、就寝時0.079μg/dlであり、起床時に最も高く、その後激減し就寝時は最も低下する一般的な動向を示した。食事調査の結果、1日の平均摂取エネルギーは1471kcal、たんぱく質50.8g、脂質51.3g、炭水化物197.5gであった。登園時のコルチゾール濃度が低い幼児ほど、乳類の摂取量が多かった。幼児とその母親の唾液コルチゾール濃度には、7名中6名に有意な相関がみられた。食事内容については、相関の高い食品群とそうでないものが存在するが、唾液コルチゾール濃度との関連が示唆されるカルシウム摂取量については相関がみられた。
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