研究課題/領域番号 |
22500711
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
諸岡 晴美 京都女子大学, 家政学部, 教授 (40200464)
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研究分担者 |
井上 真理 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20294184)
杉村 桃子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20380214)
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キーワード | シニア / QOL / 健康 / 快適 / 繊維製品 / 感性解析 / 脳機能 / 積分筋電図 |
研究概要 |
近い将来人口の約半数がシニア層になると予測されている。本研究では、プレ高齢期ともいえるシニア層の健康とQOLの向上を目指し、加齢に伴う変化に対して日常生活をオフェンシブな視点で支援する繊維製品の設計に資することを目的として研究を遂行している。本年度は、主に以下の研究を行った。 1.感性スペクトル解析法を用いて、脳波測定から人の感性を客観的に評価するために昨年度作成したデータベースを用いて、香りを嗅ぐことによるストレス低下と快適性への影響を数量化する方法について研究成果をまとめ公表した。またさらに研究を進め、脳機能への影響についてもNAT解析やDIMENSION解析を用いて検討を開始した。 2.人が趣味をもって生きることは、QOLの向上に有用であることから、箏絃の撥絃耐久性について、それを評価するための試験器の開発とその評価方法について研究成果をまとめた。 3.園芸用・農作業用ゴム手袋の作業性を評価するために、主働筋である総指伸筋の筋電図を測定し,作業中の積分筋電図IEMGを解析した.作業性の評価においてIEMGを用いることの有用性を明らかにした. 4.コルセット機能をもつ下衣を設計するための基礎研究として、コルセット着用の有無が姿勢保持筋群に及ぼす影響を明らかにし、脊柱起立筋のみならず腰部周辺の筋への影響も明らかになった。 5.市販されている使い捨ておむつ・布おむつの快適性を客観的に評価するため、力学的性質・熱的性質などの物性面から検討を続行している。乾燥時、湿潤時の主観評価結果と物性測定結果とを比較検討することで、おむつの性能評価方法について検討を行っている。 6.地方高齢者の生活態様を調査し、体力との関係から、QOLの向上を目指した生活のあり方について研究成果をまとめて公表した。 以上。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究概要に記載したように、非常に多くの観点から着実に研究を行っており、これらの研究成果を順次、口頭発表および論文に投稿するなど実績を出している。また、脳波測定に関しては、単なる感性解析のみならず、シニア層や高齢者にとって重要な脳機能解析についての検討も始めている。以上のことより、当初計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、シニアの健康とQOLの向上に関連する種々の繊維製品の開発に向けての設計指針を導出してきた。平成24年度は、本研究の最終年度にあたり、研究のまとめを行う。また、これまで進めてきた研究をさらに進展させ、本研究の目的を十分に遂行していく計画である。 なお、研究代表者が所属を変更したことにより、人工気象室がなくなり、実験上多少の支障はきたしているが、簡易型の気象室を作成し、対応している。
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