研究課題/領域番号 |
22500712
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
藤平 眞紀子 奈良女子大学, 生活環境学部, 講師 (90346304)
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キーワード | 維持管理 / 伝統的木造住宅 / 補修 / 建替え / 格子 |
研究概要 |
高取町土佐街道における伝統的木造住宅の維持管理の現状と課題について検討した。今年度は、街道の町並みにも深く係わると思われる格子にも視点をあてた。まず、住宅の外観調査を行い、改修の有無や建替えの有無等、および格子の形状等を調べ、特徴のみられた住宅20軒を選定し、居住者にヒアリング調査を行った。 得られた結果は以下のとおりである。回答者は40歳代から80歳代であり、単身世帯から三世帯同居と様々であった。住宅の建築年は1810年から1984年であり、築後100年前後の住宅が8軒であった。対象家屋の約半数は開口部に連子格子のついた、つし二階建てであり、母屋は四間取りが多い。格子が設けられている部屋の用途は、座敷、ナカマ、シモミセであった。座敷には出格子、ナカマには平格子の連子格子、シモミセには平格子の浪格子が多い。シモミセでは開閉式の浪格子もみられた。住宅の維持管理において、建具の入れ替えや祭りなどの季節の行事、講の当屋が重要なきっかけになっていて、障子の貼り替え、畳表の交換、建具まわりの手入れ、さらには外壁の塗り替えなどが一定のサイクルで行われている。また、屋根や外壁の補修はここ30年間に約半数の住宅で行われており、経年による傷みとともに、台風や震災など自然災害もきっかけとなっている。住宅の改修は、家族構成や高齢化による生活スタイルの変化、設備類の故障と高機能設備の登場、下水道の整備などにより行われている。また、格子については、回答者の一世代前までは毎日のように頻繁に格子を乾拭きしていたが、近年ではお盆とお正月、秋祭り、雛めぐりなどの行事前に行う程度になっている。伝統的木造住宅および格子の維持管理において、居住者の高齢化や同居家族の減少、大工・各種職人の減少、経済的な負担などに課題がみられた。廼._
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地でのヒアリング調査に多くの協力を得られ、街道沿いの住宅居住者から、現在に至る維持管理の現状を聞くことができた。また、住宅内部の様子を観察することもできた。このヒアリングを通じて、補修や改修に係わった大工や工務店を知ることができ、専門職人への調査を行うための対象をしぼることができた。また、木質部材が置かれている環境を知るために、部材周囲の温湿度測定を計画していたが、その対象住宅を選定することもできた。さらに、外観調査について、格子を中心に傷みの観察など、詳細に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画では、昨年度に実施することとしていた大工や工務店へのヒアリング調査および木質部材が置かれている環境測定について、ヒアリング調査の実施が若干遅れたため、対象者および対象住宅の選定は確実にできたものの、実施にはいたらなかった。しかし、対象者および対象住宅からは調査協力を得られているので、年度末から実施準備を行っている。また、外観調査については、昨年度より始めた格子に視点をおいて、さらに検討を進める予定である。
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