研究概要 |
1.全国の児童養護施設を対象に平成23年度実施の質問紙調査および事例調査の結果を分析し、現在、ケア形態(大舎から小舎へ)とケア単位(ケア人数6名へ)の小規模化が推進されている中で、職員の負担や小規模化に伴う空間閉鎖性への回避から、大舎や中舎のケア形態を残しながらケア単位の小規模化が行われていること等を明らかにした。ケア形態については、上記のような理由から、大舎や中舎の長所を再評価した空間計画のあり方を提示し、一方、小舎化された施設計画においては、小規模化によって実現する家庭的な規模の空間を活かしながら、空間閉鎖性の問題等を防ぐための計画上の考慮すべき諸点を明確にした。これらの研究成果を日本家政学会大会(平成24年5月11日~13日、大阪市立大学)、日本建築学会大会(平成24年9月12日~14日、名古屋大学)において公表した。 2.これまで、1歳から小学校就学までの幼児が居住する空間については同一空間で計画されてきたが、平成22年度に行った補足調査の分析結果をもとに、幼児期における著しい発達段階の変化や、特に幼児期に虐待経験を持つことが多いことなど、幼児の居住空間については、各幼児の抱える個別の事柄に、職員のきめ細かな対応を可能にしうるよう、発達段階に応じて生活領域を分け、各幼児の発達段階、個別性に対応した空間計画の必要とそのあり方を明らかにし、この内容を国際家政学会大会(平成24年7月16日~21日、Melbourne Convention & Exhibition Centre, Australia)において発表すると共に関連研究資料を収集し本研究の総括を推進した。 3.本科学研究費補助金を受けながら継続実施してきた各種の調査結果をもとに、子どもが育ち・自立する力を身につけてゆく生活の場としての児童養護施設・自立援助ホームについて、今後の空間計画の課題とそのあり方を総括した。
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