(研究目的) 本研究は、犯罪の起こりにくい戸建住宅地のあり方を、配置構成に焦点を当てて追究しようとするものである。戸建住宅の防犯対策といえば、個々の住宅の堅固性を追究すること、または欧米型のゲーテッド・コミュニティに代表されるように、住宅地全体を「要塞化」するというように二極化したアプローチが注目されている。そこで本研究では、住宅と屋外空間(庭、道路)との関係、住宅と住宅との関係など、住宅地の配置構成に着目し、防犯性、持続可能性の高い戸建住宅地のあり方を検討するものである。 (実績) わが国の戸建住宅地において、防犯の新しい試みを行っている住宅地も含めて様々な配置構成をもつ住宅地の事例収集を行い、一部では現地視察も行った。これを基礎にして、対象住宅地を選定し、居住者の生活実態、防犯意識などについて質問紙調査を行った。平成22年度は、名古屋圏で1970年代末に開発された愛知県小牧市の桃花台ニュータウンにおいて、配置構成が異なる数ブロックを抽出して入居者調査を実施した。調査時期が年度末にずれこんだため、現在も調査結果の解析中であるが、居住者の防犯意識が高いこと、しかしニュータウンの人口高齢化によりまちにおける生活自体のことも含めて居住者の不安感は高いことが明らかになってきた。
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